2008年/11月4日/

乾いたような冷たい風が吹く
そんな季節になった頃。
僕は実家ですやすやと寝ていた。
枕元に置いていた携帯が
派手な音を立てて鳴り響いた。
こんな朝から誰だろうと思い
携帯を開いて見ると
親からのメールだった。

メールを開いて僕は唖然とした



「小室哲哉、逮捕されたで」


思考よりも感情が先走り
僕は一階の居間へかけおりて
親に問い質した。


「小室が捕まったって、どういう事!?」

そう言う僕のポケットが震えた。
しかし、衝撃で頭がパニック。


親はリモコンでチャンネルを変えた。

すると、テロップと共に聞き慣れたglobeの曲が流れた。

(小室哲哉プロデューサー・詐欺容疑で逮捕!!!)

胸が飛び出そうになりながらも
TV画面に食い入った。






ニュースを見終えた僕は
信じられない気持ちでいっぱいだった。





小室哲哉が・・・・・・詐欺?



と、同時に一気に色んな恐怖が
僕の心を満たし始めた。



KCOは・・・どうなった?

globeは解散・・・?

KCOも関わっていたのか・・・?

刑務所に行くのか?

MARCは知っているのか?



不思議と涙は出なかった。
悲しい気持ちを通り過ぎた僕の
気持ちは冷静になっていた。


「小室哲哉に手紙を書こう!!」


きっと何か原因があるはず!!
小室哲哉が自分から犯罪なんて
するはずがない!!!
巻き込まれただけ!!!!!


そう信じていた。





続く......



「OVER THE RAINBOW/globe」


信じたくない出来事をあなたは
いつもどうやって乗り越えて
来ましたか?
惰性とか妥協とか堕落とか
落ちる感覚がたくさんの
希望に満ち溢れていたはずの
純粋さを泥まみれにしてしまったその時
誰があなたを救ってくれたのでしょう?




OVER THE RAINBOW空へ駆け上がる気持ちを持てるなら
例え虹を越えられなくても
素敵な感覚なんじゃない?

OVER THE RAINBOWびしょ濡れになった僕の心を君が癒してくれた
証なんだから



永遠と言う文字あなたは
素敵な言葉と思っていませんか?
安らぎはなかなか永遠とは
相性が良くないみたい
だけども君のひたむきで
力強い想いが雨音を
期待のリズムに変えてくれました
少しずつ少しずつ荒んだ心を体を洗い流してくれました




OVER THE RAINBOW空へ駆け上がる気持ちを持てるなら
例え虹を越えられなくても
素敵な感覚なんじゃない?

OVER THE RAINBOWびしょ濡れになった僕の心を君が癒してくれた
証なんだから

OVER THE RAINBOW夕立ちが上がった頃に空を見上げてみましょうよ
OVER THE RAINBOWビルの隙間からでもいいじゃない?
きっとあなたにとっての
彼が彼女が虹を見せてくれるでしょう


OVER THE RAINBOW...
FEEL THE RAINBOW...

I was rain
you become the rainbow....

into my heart....

僕が施設に入所してから
半年程経ったある日
僕が部屋でglobeを聴いていたら
友達が部屋に入ってきた。
毎日飽きずにglobeを繰り返し
聴いている僕にみんなは
他のアーティストの曲も聴けと
勝手に僕のコンポからCDを
取り出した。

それに腹を立てた僕は
友達に食ってかかった。

今はglobeが好きだし
自分が何を聴こうが勝手だ、と
強く訴えた。
すると憤然とした面持ちで
友達はみんな部屋から消えた。


それを境に僕は孤独になった。



朝起きると、僕の着替えが
廊下に散らばっていた。
誰がやったのかは察しが付いた。
しかし、小さな頃からの経験で
別に苦痛にも感じなかった。
そんな平然とした僕の態度に
手応えを感じなかった友達は
僕のglobeのCDを壊して
部屋のゴミ箱に捨てた。

更に嫌がらせはエスカレート。


僕の私物を隠したり壊したり...

写真も破られた。
授業中に突然殴られた。
お風呂に入っている時に
背後から尿を頭にかけられた。
無理矢理性器を加えさせられた。ご飯の中に虫を入れられた。
ガムテープで手足を縛られた。
鉛筆で掌を刺された。
洗剤を顔にかけられた。


僕はその時の唯一の存在である
長女達の事を想い堪えて泣いた

いつ迎えに来てくれるのか。
明日になれば来てくれるかも。
そんな淡い期待が毎日続いた。


そして

そんな生活が
一ヶ月程、続いたある夜に
僕は自分の体をカッターで
切り刻み太いゴムで
自分の首を強く巻いた。

一気に息が出来なくなり
自然と舌が口から出た。
長いようで一瞬に感じられた。
体温が上昇し、目の前がTVの
砂嵐の様にぼやけて行く。


その時に、部屋のドアが開き
職員が3人飛び込んで来た。


「流星!!お前何しとんねん!!!」

一人の女職員が慌ててハサミを
取りに部屋から飛び出した。

男職員二人がかりで引っ張って
やっとゴムが緩む程度で
簡単に解く事は出来なかった。
あたふたしながら戻ってきた
女職員が泣きながら男職員に
ハサミを押し付けた。


「早く!!早くしないと流が!!!」


首に刃が刺さるのも構わず
男職員はゴムを切った。

途端に酸素が一気に肺に溢れ
僕はむせた。



翌日、事件を聞かされた長女達はすぐに僕を引き取りに来た。
2週間の外泊を許可された僕は
その日から長女の家に住み始めた


長女達は僕に気を使っている。

そんな感じがした僕は敢えて
元気な自分を演じた。



そのある日。

長女の子供達と一緒に
BoAのアルバムを聴いていたら
突然長女が僕の元へやって来た。

「アンタ、これ聴き。」


そう口にすると、長女は去った。

何かと思いCDをセットして
再生ボタンを押した。



スピーカーから流れる曲を
聴いた瞬間に僕は下を向いて
思いっきり泣いた。


それは、何とglobeの曲だった。

その年に発売されたばっかりの
「OVER.THE.RAINBOW」だった。




次の記事でその歌詞を紹介します。