兄のように慕っていたしゅうさんから手紙が届いた。
当時、ちょうど頭がおかしくなった頃で、島にいるしゅうさんから届いた手紙を見た途端に仕事を辞め、『ぼくも住ましてくれませんか?』
何もかもほったらかして数ヶ月、フィクションのような…
『島へは船で数十時間かかるけど、シャワーはあるし。何より安くてこれるからのんびりおいで。』
ワクワクしながら、ウォークマンとリュックサックだけ持ち、港へとむかった。
港へはかっちゃんが送ってくれた。着く前にレストランで昼食を奢ってくれ、20分前に港へとむかうバス乗り場に到着。
スカスカなバスに揺られてる途中、『すいません、これって島行きのバスですか?』
不安そうに後ろから声をかけてくるやつがいる。振り返ると、いかにもマジメで人懐っこそうな印象の顔したやつだった。「原くん」という、島におばあちゃんがいるから夏休みを利用して遊びに行くと言うおしゃべりなやつ。
船はカーテン付きの2段ベットで4人部屋になっていて、部屋にいてもつまんないし広場でテレビ見るか海を眺めてるかしていたが、原くんは会う度に話しかけてきて暇する事がなかった。 夜は船から見る星が綺麗だった。
船が出発し、数時間後に広場でいかにもちゃらちゃらしてそうな二人組が話してきた。
年上だったし、島に着いてまでこんな人達と絡む気はなかったからそっけない態度をとっていたが、一緒にいた原くんが嬉しそうに話していた。島にツレがいて、サーフィンをしにいくらしい。名前は聞かなかったか、忘れた。
夜も深くなって、広場でテレビを見ていたら二人組の一人が隣に座った。
『一服しようよ。』と魚肉ソーセージ大のそれを差し出してきた。言われるままに一服してたら、『眠れないでしょ?睡眠薬あげるよ。』目が真っ赤になったぼくは、初対面でなんでこんなにしてくれるんだと思いながらも断れなく言われるがまま、飲んだ。
『原くんには内緒だよ。』とそいつは言い、その場を後にしたぼくは途切れる意識の中、財布だけをベッドの下に隠し、眠りについた。
昼すぎに目が覚めたぼくはベッドでJACOB MILLERを聴きながら、「よし、これ以上絡まないでおこう。」と、たまに部屋に来るそいつを無視し、到着まで殆どベッドにいた。
財布はあった。
広場で原くんと会った時、『内緒にしててくれって言われてたんだけど…』と、昨晩二人組のもう一人からぼくと同じ事をしてもらった事を嬉しそうに話してきた。
『原くんはいい奴だから言っとくけど、これ以上関わらない方がいいよ。ろくな事ないよ。』と忠告してあげたが、陸に着く直前に連絡先を交換していた。馬鹿なやつだと思った。
