「ライフ」最終回。


どんな結末になるのか気になっていたけれど、問題が全部解決してみんな幸せ…みたいな安っぽい結末にならなくて良かった。


…結局いじめは無くならなかった。標的が変わっただけ。歩から愛海へ。愛海がいじめられるのは自業自得ではあるけれど…やっぱり釈然としない。愛海がいじめ返されるのを見ても、気持ちがすっきりしない。


愛海は友達を利用したり脅したりするような最低な人間だけど、そんな人間になりたくてなった訳ではないと思う。言葉とは裏腹に、本当はとても弱いからこそ、強がらずにはいられないのだと思う。だからといって、彼女の犯したいじめという罪が許される訳ではないけれど…。


やられたからやり返す…という考え方もどうなんだろう。そもそもやられた本人の歩がやり返しているのではなくて、やり返してるのは他のクラスメイト達だし…。


歩は「お前もやれよ」と言われても「あたしはいじめなんてしない。何があっても。…どんな理由つけたってこんなことしていいわけない。…人を傷つけるのが強いんじゃない。あんた達みたいなのが強いって言うなら、私は強くなんかなりたくない」と言って断る。


屋上では薗田が「安西(愛海)を責めてみんな安心したいんだ。自分だけは悪くないんだって。標的が安西になっただけで、何も変わってない」とこぼす。


この歩と薗田の言葉はいじめ問題についての大きなキーワードになっていると思う。大人でも子供でも、精神的に強くて、自分の理想通りの、自分の思い描いた通りの生き方が出来ている人なんてごく一握りだと思う。思い通りに生きられなくて、イライラやモヤモヤを抱えている人はたくさんいるはず。特に中学生や高校生では顕著だと思う。


他人を思いやれたり、強い正義感で過ちを正せる人なんてなかなかいない。社会の第一線で活躍しているような、政治家や教育者や専門家などの「立派な」大人たちには、そういう心の弱い人間の気持ちなんて、分からないのかもしれない。歩が強い心を持っていじめに加わることを拒否できたのは、とても凄いことだと思う。


歩と愛海の関係。一度壊れてしまった関係は簡単には修復できない。…でも、歩に「嬉しかった。愛海が声掛けてくれて。愛海が友達になってくれて凄く救われたの。なのに、何でこんなことになっちゃったの…」と言われた時の愛海の表情からは、心の底では壊したくなかったという想いが伝わってきた。


どうして、うまくいかないんだろう?どうして、強くなれないんだろう?一人じゃなくて、誰かが手を差し延べてくれれば、心から手を差し延べてくれる誰かがいれば、強くなれるのかもしれない。