6月の下旬くらいだったと思う。
父を連れて病院に行ったら、先生に「家族の方だけ」と言われて呼び出された。
まさか父から包茎手術痕でも見つかったのか?
私は覚悟をし、少し離れた簡易的な診察室に入った。
父のCTスキャンの画像を見せられ、そこに白い影がある事を説明された。
先生は「どうします?PCR検査受けますか?」と言ってきた。
医者でも本人でもなく、私が判断するのか?
先生の説明から、ヒシヒシと、PCR検査をしない方がいいですよ感が伝わってくる。
あまり自分の病院からコロナ患者を出したくないのだろう。
私は「PCR検査を受けさせます。」と言うと、先生は少し嫌そうだった。
この画像と今回の話は関係ありません。空がとてもキレイだったから載せました・・・。
検査日当日、私は車を運転していた。
後部座席には父が乗っている。
今はどうなっているか分からないが、この街ではドライブスルー方式しかやっていないと言われ
しかたなく自分が車を運転する事になったのだ。
久しぶりに外に出て、父はウカれていた。
せっかくなので、指定された時間まで少しだけ街を走ることにした。
渡された案内には、どこでPCR検査をやっているか秘密にするように書かれている。
なるほど、そうゆうものなのか。
普段は近づかない、街の特異点みたいな場所に、その検査場はあった。
防護服やテント。
ロズウェルにUFOが墜落し、宇宙人を回収している映像は、たしかこんな感じだった。
X-FILEなら、ここに宇宙人の遺伝子を組み込まれたエージェントが来て、父の検体を奪い
カーチェイスするも取り逃がしてしまい・・・テレレレン・テレン(X-FILEの曲)とOPに繋がるのだろう。
そんな妄想をしているうちに、自分たちの番になった。
車を誘導され、所定の位置でストップ。
バラエティーでディレクターが持ってるカンペみたいなもので、説明をしてくれた。
いっさい見ない父・・・。
仕方ないので、カンペを読み上げてやった。
優秀な女子アナくらいのペースで、丁寧にカンペを読み、父にPCR検査のシステムを理解させた。
その勢いで、カンペに 『 ものまね、郷ひろみ 』 とか書かれていたら、たぶんやっていただろう。
必要最低限の窓の開閉で検査は終わった。
全く無駄のないスムーズな検査システムであった。
この大変な時期に、最前線でがんばっている検査員たちに感謝し
車誘導スタッフの方にも、クラクション鳴っちゃうくらい、深々と頭を下げて
我々は帰路についた。
そして父は陰性だった。
しかし、別の病気で入院することになったのは、また別のおはなし。