「ポケモン」って言葉を見ると思い出す話が一つあります。
その話をしたいと思います。
なんの話かと言うと
ミュウツーの唐揚げ
についての話です。
長くなりますが、お暇があれば読んでみてください。
この話は、俺が21歳になる夏の話です。
その年の春頃に
俺の高校時代の野球部の友人のO君から一通のメールが届きました。
いきなりなんやろ?
O君の事やから、どーせまたいつものように突発的に
今度◯月◯日に姫路に集合な
みたいな感じのお誘いのメールかな?
そんなことを思いながらメールを開くと
そこにはとんでもないことが書いてありました…
ミュウツー唐揚げにしたらうまそうwwwww
もうね、訳がわかりませんよwww
なんか、わけもわからずO君と2人でミュウツーのどの部分を唐揚げにしたら美味しそうだの馬鹿みたいな話をしていました。
それから、時は流れて、7月の半ばになりました。
うちの地元では、毎年盆の時期に、盆野球という野球の大会があります。
その頃は、毎年10チーム以上のチーム参加し、甲子園に出た人も参加するなど、毎年かなり白熱した戦いを繰り広げてました。
自分も、高校3年の時から参加していて
高3の時と19歳の時は親戚のチームで出て
20歳の時は、高校の同級生で野球できる人を集めて、助っ人も呼んでチームを作り参加していました。
高校3年の時は初戦で負けてしまいましたが
その次の年から、大学でも野球を続けていた自分がピッチャーをして2年連続で決勝トーナメントには上がれていました。
なので、その年も前年までの悔しさを晴らすべく、今年こそは!優勝!!!
と、みんな張り切ってました。
親戚のチームで参加した時は、何もかも親戚の人が用意してくれて、俺は参加するだけやったけど
自分たちでチームを作る!ってなると人数集めたり、チーム名考えたり、道具用意したりと、色々することがあります。
人数は、前の年の人がだいぶ来てくれたり後輩を呼んだりしてすぐ集まり、道具も用意できたので
次はチーム名をどうしようか?
となりました。
前の年も同じことを悩んだ時、O君に相談をしました。
少し厨二病の入ってるO君は
「天才をもじって天災にしよ?」
そう言ってこちらの有無をいわさず半ば強引に天災というチーム名にすることになりました。
なのでその年も、O君にとりあえず意見を求めることにしました。
するとO君は、あろうことか
「ミュウツーの唐揚げでええんやない?ww」
と言うてきました。
もちろん即、採用しました。←
ってことで、チーム名はミュウツーの唐揚げに決まりました。
チーム名も決まり、参加できることが確定するので盆野球に登録をすることにしました
しかし、みんな地元にはおらず、地元も地元を出ており地元に帰る予定もありません。
仕方ないので、無理を言ってうちの母に登録をしてもらうことにしました。
無事に登録が終わり、それからしばらくして盆野球のトーナメントの抽選会兼説明会みたいな集まりがありました。
チームの代表者はそれに必ず参加してくださいという連絡がありました。
しかし、自分はしばらく地元には帰れません。
チームのみんなに聞いても、みんな地元には盆まで帰らないということでした。
このままでは、抽選会に参加できません。
棄権という扱いにされかねません。
困った。
俺は母に相談しました。
すると、ありがたいことに、父が抽選会に行ってくれることになりました!!!
話のわかる父を持って、息子は幸せや。
そう心から思いました。
父は、その説明会に参加するに当たって俺に
そういえば、チーム名、何?
と聞いてきました。
しかし、何故か俺は
ミュウツーの唐揚げ
と答えるのが恥ずかしくて
とっさに
「揚げ物みたいな名前のチームやで!」
と、答えました。
父は
ふーん。
と、言っていました。
それからしばらくたち
盆になり、地元に帰省しました。
盆野球、絶対勝つぞ
そう闘志をみなぎらせ、実家に帰ってきました。
すると会うなりいきなり、母に頭をはたかれました。
え、何???
訳もわからず戸惑っていると、母は何があったか説明してくれました。
説明会の当日、父は抽選会の会場に行きました
会場には各チームの代表者が十数人いたらしいです。
そして、時間になり
まず点呼があったらしいです。
チーム名を呼ばれたら、返事をする。
どんどんチーム名が呼ばれていきます。
そして、半分のチームが呼ばれようかというところで
司会の人が
「えーっと、次は…
ん?
ミュ…ミュウツーの唐揚げ?」
と、言ったらしいです。
会場の空気が変わります。
皆が思います。
なんなんそのチーム名www
どこのチームなんwww
もちろん、父もそう思いました。
しかし、司会の人は点呼を取らなければいけません。
「ミュウツーの唐揚げのかたー?
ミュウツーの唐揚げのかたー?」
そう呼びます。
さながら、ミュウツーの唐揚げを出す定食屋のように
ミュウツーの唐揚げの方を呼んでます。
会場は、もう
どいつやww
ミュウツーの唐揚げwww
みたいな雰囲気になってます。
しかし、一向に誰も名乗り出ません。
ここで父は、俺との会話を思い出します。
父「そういえば、チーム名、なに?」
俺「揚げ物みたいな名前のチームやで!」
ん……?
揚げ物??
唐揚げ???
ん…………?
絶対これやないかーーーーいwwww
その頃には会場は失笑の嵐です
みんな、ミュウツーの唐揚げのかたがどなたか興味深々です。
司会者はまだ
ミュウツーの唐揚げー?
ミュウツーの唐揚げの方はおられませんかー?
と言ってます。
父は、その時
帰ろうかな?
そう思ったらしいです。
しかし
息子が楽しみにしてる大会だ
わしが少し恥ずかしい思いするだけでこの場を乗り越えられるなら
仕方ない、覚悟を決めよう。
父は返事をしたらしいです。
「はい、ミュウツーの唐揚げの代表者です」
周りの視線が父に向けられます。
あれがミュウツーの唐揚げの方か…w
会場にいる人は嘲笑と共に父を見ていたと言います。
その後、組み合わせ抽選があり、父はものすごく良い抽選番号と引き換えに
父の中の大事なものが傷ついたと言います。
それから、父は
ミュウツー
という言葉を聞くたびに
どこか悲しそうな顔をします。
俺は
絶対優勝して
父に借りを返そう
ミュウツーの唐揚げを嘲笑ったやつらのチームを倒し
ミュウツーの唐揚げに負けた恥ずかしいやつらだなと嘲笑い
父の無念を晴らそう!
父のために、俺らが優勝するんだ!
そう思い、試合に臨みました。
初戦敗退しました。←