お約束 赤字はフィクションです^^
 
     シロートの記事にお付き合いくださってありがとうございます。
 
     何か恥ずかしいんですけど、masaさんと真理をこのまま終わ     らせるわけにいきませんので続けます(笑)
 
     コメントは、完結篇にまとめてで結構ですm(・・)m
 
 
千葉奥地に忽然と現れた「麗人の館」
到着するとすぐスナフキンは、受付で媛子のために車椅子を借り乗せた。そして、
愛媛の図書館で一目ぼれした女性を捜しに,、家の奥へ入っていった。
 
彼の背中を見送りながら媛子は自分が煙のように細く消えてしまうかのような頼りなさを覚えた。
『私たち夫婦はいつからこうなってしまったのだろう』
考えるまでもない。彼女の足が悪くなってからだ。
スナフキンは、文字通り歩調の合わなくなった妻に合わせるのがまどろっこしく、露骨に置き去りにするようになった。
媛子は媛子で足手まといと思われるのが嫌で、
「ここから先は別行動しましょ。二時間後にここに集合ね」
明るく言って車椅子を漕いで行ってしまう。それが二人で外出した時の習慣になってしまったのだ。
だけど、ここは地の果て。上野といい千葉といい、見知らぬ土地ではないか。
 
と、
後ろから優しく車椅子を押す人があり、その館についての説明を始めた。
ハードボイルド・ジェントルマンのmasaさんである。
 
そこは不思議な空間だった。
コンクリートの外観からは想像もできない、赤いカーペットが敷き詰められた細長い部屋。
美しい女性たちがドレスや薄物をまとい、静かに存在している。
ある女性たちは、衣服さえ脱ぎ捨てて裸体をさらしているが、ふくよかな胸、申し分なくくびれた胴、桃のようなお尻があまりに美しいため、つつましくさえ見える・
「日本の女性はこんなに美しかったんですね」
車椅子を押してくれるmasaさんに、媛子は感想を言った。
「私はここは二度目です。何度でも来たいところですね」
「そうですか。だからあんなに運転がスムースで」
他の人の邪魔にならないように、ひそひそと会話を交わした。
 
最初はmasaさんに車椅子を押してもらうことに恐縮した媛子だったが、女性たちのあまりの美しさに魂を奪われたように運ばれていった。
不思議だったのは、行き違う人々が車椅子の媛子とmasaを見ると好ましそうな笑顔を浮かべるが、次の瞬間、驚きと恐怖の表情に変わり、あらぬ方向を見ながらよけて通っていくことだった。
 
「あ」
ある女性の前に案内され、媛子は息を止めた。
スナフキンが片想いして千葉まで会いに来たその人だ。
写真と同じくその人はこちらを見ていない。左に何か注意をそらすものでも置いてあるようだ。
しかし……やはり、美しい。
 
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彼女が座るその前のカーペットに涙色の水たまりができている。
「スナフキンは振られたのね」
媛子は彼女に尋ねた。
「ええ、私の絵を描きたい、絶対美しく描くからと迫ってこられたけど、お断りしました。
この絵のモデルを頼まれた時だって、午後6時までなら、ということでお引き受けしたの。だから5時55分になると自然に時計に目が行ってそわそわしたのよ」
「だからタイトルが『5:55』なんでしたね」
絵に詳しいmasaさんが私の頭越しに声をかけた。
「よく御存じね。
それにね、」
と彼女はいたずらっぽい笑顔になった。
「私、美しく描いてくださる方かどうか、一目見ればわかるの。女子校の皆さんからも噂を聞いているし
 
美術館をひと廻りしてロビーに帰ると、スナフキンはみやげの絵ハガキを選んでいた。
masaと媛子を見て笑顔になったところを見ると、どうやら失恋の痛手から立ち直ったらしい。
 
「媛子、masaさんに車椅子押してもらっているとき、みんな、ヘンな目で見なかった?」
「そうなんよ。どしてかしら?」
「あそこの鏡、見てみてん」
 
鏡の中には、真理にひっぱたかれた赤い手形も鮮やかなmasaさんが神妙な顔で車椅子を押している姿が写っていた。
「これじゃ、私がひっぱたいて、強引に車椅子を引かせてるみたいじゃないの」
媛子の頬も、負けず劣らず赤くなった。
 
**************   つづく 
 
ホキ美術館です。
 
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ほんとに美しい絵ばかりでした。お勧めです。
 
        パンフレットから追加画像
 
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