南西部の都市オデースまで、ガイロス軍は侵攻はできなかった。


 ここは、ガイロス帝国時代に建造された港湾都市だった。


 しかし、二度に渡る独立運動と戦争では、悲劇の舞台となっていた。


 さらに、開戦前年であるZAK2121年には、秘密警察に殺害された人々の遺骨が収集された。



 ここは、北部や東部と違い、戦場から遠すぎるので、ガイロス軍が侵攻してくる事はない。


 だが、そうは言ってもガイロス軍が長距離ミサイルを何発も発射してきていた。



 また、この西部には、未承認国家、沿エラストリア共和国がある。


 独立国家を名乗っているが、ここにはガイロス軍兵士が駐留している。



 流石に、ガイロス軍部隊が動く事は無いだろうが、ユクルース軍は警戒を緩めていない。



 沿エラストリア共和国は、ガイロス系&ユクルース系の住民が住んでいた。


 そのため、ルーバシア&モルドラによる領土紛争が起きた時、両国が大規模な兵力を派兵した。



 この時は、ユクルース共和国は親ガイロス政権だったからである。



 よって、港湾都市オデースは西から来るかも知れぬガイロス軍歩兵部隊を警戒せねばなら無かった。 


 さらに、東からは何時くるか分からない、長距離ミサイルに、住民は怯える他しかない。



 一方、ドルネツ地方では。



 ここの上空をゾイドと言うよりも、戦闘機に見える無人航空機が飛んでいた。



 低速で飛行する無人機だが、不思議と地上から攻撃が飛んで来なかった。


 ガイロス軍の対空レーダーは速度が遅すぎるため、帰って捉えられない。



 しかも、ディメトロドン&ゲーターと言った、ゾイドすら低空を飛ぶ無人機を発見できないのだ。



「弾薬を運ぶぞ、前線に届けるんだ」


「ここには、地雷を設置しよう」


 ガイロス軍の防空部隊は、ディメトロドンを中心に警戒を行っていた。


 そんな時、不意に、ディメトロドンの背鰭がド派手に吹き飛ぶ。



「なんだっ! 爆撃かっ! 防空ミサイルを撃てっ!」


「敵は何処から来たんだっ!」


「負傷者だ、誰か手を貸してくれっ!!」


「ううぅぅ? な、何があった?」


 防空部隊は、反撃する間もなく、混乱に包まれたまま、慌てふためくのだった。



 黒流海。



 陸上から地対艦ミサイルを装備した、モルガにより、ガイロス海上艦隊に攻撃が発射される。


 それと合わせて、上空を謎の戦闘機型ゾイドが舞う。



 この機体も、翼下にあるハードポイントから空対地ミサイルを放つ。


 空と陸上から、二つのゾイドに攻撃された、ガイロス艦隊は甚大な被害を受けた。



「うわっ! ミサイル攻撃だっ! 総員、退艦しろっ!」


「次弾が飛んできますっ! 間に合いませんっ!」


 ガイロス艦隊旗艦のホエールキングは、ミサイル攻撃で爆破轟沈した。


 ユクルース軍が行った、奇襲攻撃により、ガイロス側の艦隊は壊滅的となった。



 ブラキオス&ヘルディガンナーからなる海上艦艇ゾイドも、次々と破壊されていく。



「バイラクタル、任務完了、帰投する」


「バイラクタル、レーダーに以上なしっ!」


「帰投次第、次は陸上部隊を爆撃するぞ」


 車体後部を改造されて、緑色のコンテナを作られた、モルガが何処かで停車していた。


 ここは、森の奥深い場所であり、ガイロス帝国軍に知られていない、仮設された秘密基地だ。



 モニターを見ながら、無人機を帰還させようと、女性オペレーターはパネルを操作する。


 その隣では、男性オペレーターが椅子に座りながら、レーダーで敵機の襲来を警戒している。



 二人に野戦帽子を被った、秘密裏に派遣されている、テルクス人の軍事顧問団員は指示を出す。



 今、ガイロス艦隊に打撃を与えたのは、新型無人機飛行ゾイド、バイラクタルだ。



 無人機ゾイドは、実験機からブロックスに至るまで、多数が戦場に投入されていた。


 だが、この機体は今まで使用された物より航続距離が格段に向上している。



 そして、機体自体の製造費用は安い。



 と言っても、本気を使用するには、通信衛星や通信指揮者型モルガのシステムが必要だが。


 このシステムは、かなり値段が高い。



 だが、ガイロス帝国が侵攻する前に起きた、ナガルア・カリバフ紛争では大活躍した。



 ユクルース空軍は、テルクス共和国より輸入した、本機を偵察や爆撃に使用した。


 これにより、ガイロス軍の地上ゾイド部隊や海軍部隊に、かなり被害が出た。



 南方戦線で使用された本機は、軍歌まで作られるほど、人気の機体となった。


 しかし、実際の戦果は誇張されて、宣伝されていた。


 それでも、この機体はユクルース空軍に取って、貴重な無人爆撃機であった。



 バイラクタルの戦果は、過剰に宣伝されたらしく、世界的に有名になった。


 これにより、ユクルース共和国とテルクス共和国は、互いに次世代機を共同開発する事が決定した。


 バイラクタルが華々しく活躍する間、ガイロス帝国軍航空隊も、新型ゾイドを投入してきた。



 キュネーオサウルス型ゾイド、アリガートルだ。








 これは、珍しい並列コックピットを採用した重装甲戦闘ヘリ型ゾイドである。



 機体形状は、ヘルディガンナー&バリゲーターに、非常に似ている。


 それもそのはずで、設計上は、ヘルディガンナーを参考にしているからだ。


 また、両機体に酷似した、この機体は空飛ぶワニに見える。


 よって、本機はガイロス語で、ワニを表すアリガートルと名付けられたのだ。



『シールドライガーとコマンドウルフ達を下げろっ! 航空機が来るぞっ!』 


 シールドライガーに乗った、ユクルース軍高速機動隊の隊長は、無線で味方に後退を指示する。


 新型ゾイド、アリガートル&カトラーガからなる部隊は、猛爆撃を開始する。


 ユクルース共和国のゾイドは、直ぐに撤退準備に移る。


 ガイロス側の航空機部隊は、ロケットポッドやガンポッドから弾丸を発射しまくる。



 シールドライガーのEシールドは、連射される実弾射撃を耐える事はできる。


 しかし、過去にヘリック共和国軍では、ガンスナイパーを使った防弾テストが行われた。


 当時、ブレードライガーのEシールドは、射撃を同じ部分に当て続けて破られてしまった。



 また、共和国軍ゾイドのガンブラスターは、各種ビーム兵器により、周波数を切り替えられる。


 これにより、Eシールドをビーム攻撃が、すり抜けてしまうのだ。


 デスザウラーの荷電粒子砲など、協力なビーム兵器も、シールドを吹き飛ばしてしまう。


 ガイロス帝国軍の攻撃は、上空からだけでなく、正面からも砲撃やビームが飛んでくる。


 つまり、シールドライガーは、敵の猛攻により、エネルギー切れや砲撃が貫通すると思われた。



『マロース1、ロケットポッドを発射するっ!』


『マロース2、援護するっ!』


 アリガートルは、翼下のハードポイントに装着した、ロケットポッドと二連機関砲を射っていく。 


 この爆撃で、逃げ回るコマンドウルフ部隊や歩兵部隊が、黒煙に包まれてしまう。


 さらに、逃げる部隊を狙って、空対地誘導ミサイルが発射される。


 この攻撃により、ユクルース側は戦線を後方に下げるしかない。



 ユクルース側のヘルキャット&イグアン等も、迫るガイロス軍を前に徐々に後退している。


 帝国軍側は、エレファンダー&レッドホーン等の大型ゾイドが砲撃と突撃を繰り返していた。



 ここ、黒流海付近の海岸線は、ガイロス側が終始有利に作戦を展開していた。



『マロース3 弾薬補給のため、一度基地に…………ぐわあっ!』


 とは言え、ユクルース軍の歩兵には携帯式対空ミサイルが、大量に供与されていた。


 また、地上には両軍とも同じ対空ミサイルを配備していた。



 これは、ユクルース軍が過去に、ガイロス軍の一部であったためである。



 これにより、ガイロス帝国軍側も飛行ゾイド&戦闘ヘリ型ゾイドを多数損失する結果となった。