- 未来ビジネスを読む (ペーパーバックス)/浜田 和幸
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「未来の仮想国家」を夢見るビル・ゲイツ
国家のあり方も大きく変貌を遂げようとしている。
「仮想国家(バーチャル・カントリー) virtualcountry」も誕生しつつある5000万人になろうとする世界の難民問題も深刻だが、ここで言う「仮想国家」とは世界の大金持ちだけを集めたインターネット上の免税国家off-shore(taxhaven)のことである.
実際にはカリブあたりの無人島を買い、独立国として体裁を整えるか、豪華客船を国家として使う案が検討されている。
しかし、現実にそんな島や船に住む住民はいないO主たる活動の場は
インターネット上にある。
ただ、その仮想国家に登録し、二重国籍であろうと三重国籍であろうと、その国籍nationalityを取得することで、既存の国家の制約から自由になれるfree from the nation'srestrictionsとしたら・-・.
現在の法律や規則では認められないビジネスも可能になる。
アメリカや中国、日本など既存の国家主権national sovereigntyの及ばない企業国家が動き始めようとしている。
例えば、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長Bill Gatesはすでに仮想国家の大統領といっても過言ではないだろう。
この未来国家で使われるIDはウインドウズのOSで、通貨currencyはマイクロソフトの株stockといった具合である.
これらはほんの一例に過ぎない。
われわれ人間と国家、自然や宇宙、そしてコンピュータ、バイオbiotechnology、ナノテクnanotechnologyなど止まるところを知らない技術との関係も急速に変化している.
情報の量も無限に増えている.
ネット上の書店「アマゾン」 Amazonだけで、注文できる書籍は100万種類を優に超える。
ネットオークションの「イ-ベイ」 eBayでは常時、 4億点近い商品が売り買いされるようになった。
まさに、必要な情報やサービスも商品も、そして生命や国家でさえ、ありあまるほど用意される時代になってきたのである.
しかし、それらを自前の選択眼discerningeyeで選び抜き、関連付け、新た
きたわけで、その先見性foresightや分析手法analysis methodは実に興味深い(詳しくは巻末のトフラー氏との対談をお読み頂きたい).
では、現代のホーマー・リーと呼べるような先の読める人物はいるのだろうか。
その答えも本書のなかにある。
実は、その気になれば、あなたもホーマー・リーになる可能性はある.
そのためには、歴史を学ぶとともに、常識を敢えて覆すような発想の飛躍が求められる。
情報がナイアガラの湊布のように降り注ぐ現代において、われわれはともすると人類全体に係わる大きな問題は言うに及ばず、日々の小さな決断ですら自信をもって下せなくなっている。
夢も語れないほど、過去の重しや周囲の目に惑わされ、自らの行動を制約されてしまった感すらある。
本書の狙いは、そのような過去の重しを切り捨てbreakfromthe past、未来に向かって想像の嚢を羽ばたかせるべく、読者とともにブレーン・スト-ミングbrainstormingを繰り広げることにある。
未来への旅に終わりはない。
たとえ、人類や地球に異変が起ころうと、抜け道Ioopholeは必ずある。
想像を絶するワイルドカードがめくられたとき、そのカードを取るか、捨てるか。
瞬間の判断で運命は決まる.
そのような最終決断final decisionの時がいつ来るかは分からない。
数秒後かもしれないし、10年後かもしれない。
しかし、確実に来るものは来る。
本書を通じて、そのような決断の時を事前に察知する注意力と、重い決断に耐えうるしなやかな発想力を鍛えて頂ければ幸いである。
ジュール・ベルヌの没後100年に寄せて2005年1月吉日
浜田和幸
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