未来ビジネスを読む (ペーパーバックス)/浜田 和幸
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情報こそ「未来の富」を生む「現在の養分」と喝破する銀行家ウォルター・リストン


新たな技術の誕生に欠かせない研究開発(R&D-Research and Development)資金の流れをいち早く把握し、投資先として選ぶことで大きな利益returnを上げている個人や投資会社もある。


彼らの合言葉は「情報は富」 ``Information is wealth."その先駆者といえるのがシティバンクの社長、会長を長年務めたウォルター・リストン尽WalterB.Wristonであろう.


今から30年も前に


「富は土地に始まり、製造業に移る.

そして最終的には、知的資本intellectual capitalに集約されるだろう。情報こそが富となる」


と喝破している。


リストン氏の言う「富」 wealthとは、決して「お金」 moneyだけのことではない。


知的資本のなかには、コンピュータを利用した金融システムや会計基準制度の国際標準化、 ISO(-International Organization for Standardization)に代表される環境基準やインターネットなどコミュニケーション・ツールやソフトの統一的普及、そしてテレビ、映画、音楽などエンターテインメントの世界におけるスタンダードが含まれている。


アメリカの国家的情報戦略national information strategyは明らかにそのような方向を目指しているようだ。


しかし、超大国アメリカといえども「永遠の帝国」ではありえない。

リストン氏日く


「情報は自己変革を遂げる者に集まる」


替れる者は久しからず。

倣慢となり自らの地位に安住すれば、転落は早い.

今のアメリカが歴史上滅びていった数多くの帝国の運命をたどらないという保証はないのである。


英国の経済誌『ェコノミスト』 (TheEconomist)の調査部が行ったアンケートで、世界各国の企業経営者が「今後、研究開発資金の投入先として好ましい国」として挙げたのは、 「中国(39%)、アメリカ(29%)、インド(28%)」の順であった。


以下、英国、ドイツ、ブラジルと続く。


残念ながら、日本はイタリア、チェコと同列で10%のランクに止まっている。


海外の企業経営者から見て、研究開発の拠点basesを置く魅力が中国の4分の1しか日本にはない、というわけだ。


その点、アメリカをはるかに上回る得点を稼いでいる中国は巨大な人口を背景に経済成長率economic growth rateも高く、 「(経済、軍事あらゆる面で) 2025年にはアメリカを抜く」という明確な未来ビジョンを打ち出している政治的強さがある。


とはいえ、どこまで、その強さが維持できるのか。


中国の秘められた可能性hidden possibilitiesとその成長を脅かす時限爆弾timebombの存在についても、本書では大胆な見通しを紹介してみた。





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