キーワードを与え夢遊歩行者を思わせる深い催眠状態に徐々に入っていく様子を見守りながらわたしはプレソダに人生と人生のあいだに存在している時期、いわゆる「死んでいる」状態に戻るように頼んだ。

この状態にあるとき'人は人生と直接関わっていないためはるかに多量の情報が得られる。

 ふつう人生を生きている場合は知覚が狭まり'物質的環境しか鑑識の対象とならないから、現在の人生と関連がない情報は供給できないのだ。

だが死んだあとは、もっと広範囲の、ときには驚ほど広範囲の知識が手に入るのである。

 プレソダにはこのような知識を発見する能力がある。

先の進め方はわからないが'わたしは肉体から脱した場所から彼女をスタートさせるのが適切だろうと考えた。

 カウントがすんだとき、プレソダはこの世のものとも思われぬ霊妙な美しきにあふれる場所にいた。

プレンダ-わたしは上のほうの現世にいる。

あなたがたがいる世界よりもっと高度の霊気に包まれた現世だ。

ここはとってもきれい。

わたしが坐っている横には'水晶みたいに澄みきった小川が岩や水晶や宝石の上をせせらぎながら流れているわ。

わたしたちが人生を過ごす地上よりも、色彩がずっと明るくて鮮やかよ。

草なんかエメラルド・グリーンそのもの。

わたしは樫の木の下にいて近くには滝があるの。

この滝が変わっていて、やはり天然にできた水晶の風鈴が連なったものなのよ。

風で風鈴のように鳴ったり、ハープや口笛みたいな音を奏でるものもあるの。

まわりからあらゆる種煩の音楽が聞こえてくる。

ほんとうに楽しいところよ。

ここはわたしのお気に入りの場所のひとつなの。



そこはほんとうに美しく、平和な場所のようだった。

プレソダはわたしの手助けをしてくれるだろうか、それとも忙しいのだろうか?

プレンダ-(笑って)風鈴の音を聞くのに忙しいわ。

でもはかには誰もいないの。


わたし-つまりちょっと聞いてもよければ、あなたが何かに関わっているのに'連れ出してしまうことにならないかしら?


プレンダ-いいえ大丈夫。質問の答えを見つけるために場所を変えなければならない場合でも、あとでここに戻ってくればいいわ。ここはわたしの特別の場所なの。


わたし-よかった。あなたに問題を見てもらって'なんとか手助けをしてもらえるかどうかを考えてはしいのよ。


プレンダ-いいわよ、数学でなければ。


わたし-(笑って)いいえも数学じゃないわ。わたしも数学は嫌い。

わたしに出されたのは状況型の問題なの。手伝ってくれるかしら?


プレンダ-やれるかどうか考えてみるわ。


わたし-わたしがさまざまな人たちとこの方法で仕事をして情報を得ていることは知っているでしよう?


プレンダ-この方法ってどんなこと?


わたし-そうね、この方法を使えば、わたしがあなたがたがこういった別の状態にあるときに話しかけられるようになるの。

そうやって多くの異なった人たちから情報を得るわけ。


プレンダ-なるほど、入口が見つかったのね。


わたし-でも、それが問題なの。わたしがいっしょに仕事をしていた中年女性は'前世ではノストラダムス大先生の弟子だった人なの。ノストラダムスって、誰のことかわかる?


プレンダ-ええ、ミシェル・ド・ノートルダムのことね。とても進歩した人間だったわ。彼は苦難に満ちた人生を歩いたわね。あの時代では天才的心霊能力をもっている点で、彼の右に出る者はいなかったのよ'実際の話。ほかの時代だったら'神と崇め奉られたでしょうに。


わたし-あの時代ノストラダムスはほかのことでもずいぶん誤解されたわ。

とにかくそのノストラダムスの弟子として過去生を送った中年女性から情報を聞いていたの。

ところが、わたしたちが話をしているときノストラダムスがその弟子に話しかけたの。

わたしに直接話すことはなかったけれどこう言ったのよ。

わたしの四行詩を正しく解釈することがひじょうに重要だ。

自分の予言はあなたが現在生きている時代に大いなる意味をもっているのだ、と。

なぜかこの仕事をやるのはわたし以外にないとノストラダムスは確信をもっていたのよ。


プレンダ-弟子を通じてノートルダムがあなたに話をしたのね。


わたし-彼はわたしに大量の情報を伝えるつもりだったところが、その媒介役の女性が突然引っ越してしまった。


ノストラダムスは彼女が去る前に、別の人間を通してわたしに接触し、われわれの仕事が続行できるようにすると言ったのo そこでわたしは'ノストラダムスから与えられた指示をあなたに出せば'あなたが彼と接触できるのではないかと考えたわけ。


プレンダ-なんとかなるかもしれないわ。

彼にはもちろん心霊能力があるし、こちら側の世界で自分の指導霊を訪問していたのよ。だからちょうどそのときにわたしが行って姿を見せて'相手の反応を見てみるわ。

指導霊としてでなくたんなる友人とじて、彼との接触を手助けするために。

わたしが時の次元を通過する出入ロになるわ。


胸がわくわくしてきた。プレンダの口ぶりはかなり自信ありげだ。

あるいは、これで再びノストラダムスと接触できるようになるだろうか?


まさかこんなに簡単だとは思ってもいなかったのに。


わたし‥彼はわたしたちがやりかけていた解釈の仕事を続けるために使える霊媒を探しているの。

最初の女性は1時期彼の弟子だったから'彼女と仕事をするほうが簡単だと言っていたけど。


プレンダ-ええそれならことは簡単ね。

ノートルダムは自分が求める霊媒を特定したの'それともあなたが決定をまかされたの?


ノストラダムスは'わたしがいっしょに仕事をしている音楽専攻の学生のことを口にしていた。