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人生に掲げるべき三つの目標
我々は人生に三つの目標を置き、丈夫なからだをつくり、知力を鍛え、こころを豊かにするために生きています。これらのうちのどれかが優位に置かれたり神聖視されてはいけません。それぞれが同じように大切なのです。
からだと知力とこころの三つのうちの、どれかが十分に生かせなかったり、うまく表現できないならば、充実した人生を送ることはできません。
こころのためだけに生きるのは正しいこととはいえませんし、貴いことでもありません。知力だけを鍛えてからだやこころをないがしろにするのは、誤りです。
知力やこころを省みず、肉体のおもむくままに過ごすなら、いまわしい結果を招きます。それを知っていればこそ、からだと知力とこころを使い、持てる力をあますところなく発揮することが、ほんとうの人生だと我々は考えるのです。
言葉でなんといおうとも、からだが活発に動き、あらゆる機能が十分にはたらかなければ、幸せや満足感をしっかりと味わうことはできません。
もちろん、知力やこころについても同じことがいえるのです。
できるはずのことができないとか、十分な機能が発揮できないといった場合には、願望はかなえられないまま残ります。
願望とは、ためしてみたい可能性であり、実行してみたい機能です。
人間は、十分な食べ物と、着心地のよい衣服と、あたたかな住まいがなければ、からだを生きいきと活動させることはできません。
過酷な苦労にさらされるのもよくありません。からだのためには、休息し気分転換をはかることも必要なのです。
また、書物や読書をするための時間や、旅行や観察をする機会がなく、あるいは知的な会話のできる相手がいなければ、知力をしっかりとみがくことはできません。
知力を十全に伸ばすためには、知的な娯楽が必要ですし、工芸品や美術品を身のまわりに置いて、使ったり、鑑賞したりすることが欠かせません。
こころを生きいきと活動させるためには、愛がなければなりません。
お金がなければ、愛は逃げてし㌢つのです。
人間の最大の幸福は、愛する人に利益をもたらすことです。
愛のもっとも自然で自発的なあらわしかたは「与える」という行為です。
与えることのできない人は、夫や父親としての、市民あるいは人間としての役目を果たすことができません。
さまざまなものを利用するからこそ、人間はからだを活動させ、知力を伸ばし、こころをひらくことができるのです。ですから、豊かになることはなによりも重要だということです。
豊かになりたいと望むのは、無理からぬことであり、ふつうの人間ならば誰しもそれを望まずにはいられません。
「豊かになる方法」にできるかぎり注意を払うのは、まったく自然なことなのです。
なぜなら、あらゆる学習のうちでそれこそがもっとも貴く、もっとも肝心なものなのですから。
もしもこの学習を怠れば、自分自身と、神と人類への義務を怠ることになるのです。
なぜなら人間は、神と人類に対して自分自身を最大限に生かす以上に大きな奉仕はできないからです。