科学捜査研究所でのパティナ標本分析


2006年1月27日


チャーリーからシンパ、キヤメロンへ
シンパ、ジム
 もうすぐパティナ標本の分析に取りかかれる。
パティナ形成に大きく関係しているのは例のテラ・ロッサだ。
あの墓の壁のパティナが 「イエス」 「マリアムネ」 「マタイ」 のパティナと、それから 「ヤコブ」骨相のパティナとも合えば最高だ。
ただし、イスラエル地質学調査所から送られてきたデータを開けて 「ヤコブの骨相」 の分析結果を見るのは、こちらの分析結果が出てからにして欲しい。
先に見てしまうと、知らず知らずこちらの分析も影響されるおそれがあるからだ。
それは困るからね。
 ではまた。


                                        チャーリーより



 2006年当時、ボブ∴ンエンナはニューヨークのサフォーク郡科学捜査研究所の所長だった。
この件に首を突っ込まされるのは、彼でたぶん13人目だ。
最初、ボブは純粋な科学的好奇心からこのプロシュクトに加わったはずだ。
昔の墓はそれぞれに化学的データが異なるのだろうか?
 同じ墓から採取された証拠にはすべて (骨相だろうが、宝石だろうが、凶器だろうが、頭蓋骨のかけらだろうが)、パティナの同じ「指紋」が残されているのか?
 うまくいけば犯罪捜査の鑑識に応用できるかもしれない。
変色した金属片や割れた陶器の小さなかけらに、その家でどんな料理が作られてきたか、どんなペンキで壁が塗られてきたかの 「指紋」 が記録されていれば、凶器と発見場所を結びつける決定的な証拠になるかもしれない。
 もちろん、オデド・ゴランの 「ぬれぎぬ」を晴らす可能性もあった。
遺物・骨董収集家のゴランは 「ヨセフの息子ヤコブ」と刻まれた骨相を遺物・骨董市場で手に入れ、その値段を吊り上げるために「イエスの弟」という文字を加えたという容疑で起訴された。
しかしゴランは一貫して容疑を否認している。
「ヨセフの息子ヤコブ」 の骨相と 「ヨセフの息子イエス」の骨相の 「指紋」が一致すれば、彼の無罪を証明する有力な証拠になるだろう。
「この骨棺の主は有名な歴史上の人物なんですか?」。
ボブが尋ねた。
「ええ」とぼくは答えた。
「ええ」と、ひと言だけ。