その昔、詩人がいた
言葉を金で買う詩人がいた
買い集めた美しい言葉を
継ぎはぎしたり並べ替えたり
しているうちに
孤独をしのげる名声と
生きるのに困らぬ富とを
手に入れた
ある日 詩人は
一人の村娘に出会った
その時自分を襲った
心臓のギャロップ
脳髄のトレモロ
それを娘に伝える言葉が欲しくて
詩人は手当たりしだいに
買い漁ったが
ぴったりの言葉は
見つからなかった
富は尽き 人は遠のき
やがて詩人はさびしく死んだ
その晴れた朝
いくばくかの涙と
葬送曲は流れたが
弔いの言葉は聞こえてこない
詩人がとっくに
買い占めていたから
(作者不詳)
KING OF BANDIT JINGより引用
