某協議会にて、スリランカでの津波被災者への仮設住宅の現状とうちのプロジェクト概要を説明することになる。R姉御はイギリスで休暇中、広報担当Mはインド出張で不在のため、自分がやらざるを得なくなった。

主催者側からは、仮設住宅の現状を統計による数値を用いて説明してほしいと要望があったが、それらを抑えている機関はこの国にはないため(政府は論外)、持ち前のいくつかの県データをもとに類推値を用いることにした。また、おぼつかない英語を補うために、仮設住宅の写真をふんだんに使って30分弱のプレゼンをした。

津波発生後から約1年の間にスリランカでは、約5万6千戸の仮設住宅が作られた(ちなみにその1割をうちの機関が担当した)。今年6月末の段階で、現存しているのは約5万戸で、個人の庭先などに建てられた住戸を除き、10戸以上の集合仮設住宅地は、全国に約400件あり合計約3万8千戸が存在している。多くの仮設住宅が1、2年の耐久性しか考慮されていないため、すでに雨漏りや崩壊寸前の構造体も多く見られる。

こうした仮設住宅は、名目上は政府の管理下にあるが、役所が自ら維持管理を行うことはないため(予算上、能力上困難である)、比較的体力および資金力のある支援団体が留まって、改修などを続けている。小規模な支援団体やNGOの多くはすでに撤収しており、建て逃げ行為が頻発している。復興住宅完成時期が大幅に送れる中、維持管理の重要性が非常に高まっている。

質問は3つあったのみで、事なきを得る。政治に絡む微妙な質問に関しては、日頃から親しいUNのD紳士が助け舟を出してくれて、うまく交わすことができた。彼が最近輸入したトヨタ車のカーナビ説明書を要約してあげた借りがこんなところで発揮されるとは。

会議が終わってみると、40名ほどの参加者の中に別団体に所属する知人がちらほら。仕事絡みで会ったことはなかったので、こんな場所で会うと緊張する。休憩時間に振舞われた紅茶を飲み干すと、すぐに事務所に戻る。

(写真は、Kalutaraの仮設住宅。このままスラム化していくのだろうか。)