トヨタ自動車系主要企業9社は29日、10年9月中間決算を発表し、5社が黒字に転換するなど各社とも業績が改善した。各社は下期の想定為替レートを1ドル=80円に軒並み修正し、円高・ドル安への対応策を打ち出した。雇用への影響を避けるため、国内の生産能力を極力維持する一方、原材料の海外調達や輸出分の海外振り替えなどで、為替変動による業績への悪影響を回避する姿勢だ。【鈴木泰広】
グループ最大の部品メーカーであるデンソーの加藤宣明社長は同日の記者会見で「短期的に効果が期待できる対策はない。現状の為替水準が続けば国内の生産体制を見直さざるを得ない」と厳しい表情を見せた。
デンソーは下期の想定レート見直しにより、通期の想定レートも従来の1ドル=90円から84円に修正した。同社は対ドル相場で1円の円高が進んだ場合、営業利益段階で29億円の減益になると説明している。通期の営業利益予想は今回、従来より90億円上方修正したが、自動車生産が予想を上回り、生産の合理化も進んだためで、為替だけ見ればドル以外の通貨も含め370億円の利益押し下げ要因になる。今後は、安価な原材料を生かす新興国での生産方法を国内に取り入れる方針だ。
変速機を主力とするアイシン精機も、今後は海外の原材料を積極的に使っていく。藤森文雄社長は「日本の強みは生産技術。材料の品質の低さを工法でカバーする」と話した。
一方、豊田自動織機は、日本から輸出していたブラジルなど中南米向けのフォークリフトは米国から、中東向けは欧州からの輸出に切り替え始めた。豊田鉄郎社長は「輸出の減少分は、国内でのシェア拡大と東南アジアへの輸出増加で補い、雇用は守っていきたい」と説明した。
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