彼に初めて素の部分を見せた私は、一気に肩の荷がおりたように楽になった。心が安らいだ。
今まで一人で抱え込む傾向にあった私は初めて話せば気持ちがこんなにも楽になるのだということがわかった。自分が精神的に弱ってるときにいつも側にいてくれる人に私は弱い。ここが私の恋愛に対する弱点の1つであるといってもいい。優しくされるのは誰だって嬉しい。しかし、必ずしも目の前で目にしてる行動が自分の望んでいた優しさであるとは限らない。優しさには3種類ある。私を安心させる優しさと私を成長させる優しさ。そして、何かを隠すための優しさ。この3種類を見分けるのは少し難しい。特に安心させる優しさと何かを隠すための優しさは・・・。私はいまだにこの2つの優しさを完璧に見分けることはできない。
それから何週間かして私たちは付き合うことになった。彼は真面目だし、私のことをほんとに好きでいてくれた。付き合い始めて2ヶ月はほんとうに安心させる優しさと成長させる優しさをありったけの量そそぎこんでもらった。しかし3ヶ月目に入ったときから、彼の様子が次第におかしくなり始めた。それは過度な束縛である。最初のうちは仕方の無いことだと思っていたが、次第に共通の男友達と(受験期だったため)わからない問題を聞きあいしてるだけで機嫌が悪くなる。そして自習室から出るときに行き先を言わないと怒る。しまいには男の先生と話してるだけで怒る。電話も出ないと1分置きにかかってくる。それも出れないと厭味なメールが立て続けに何通もくる。女友達も自分が話しにくい女の子と私が話してたら機嫌が悪くなる。その機嫌が悪くなるという程度が普通ではないのだ。目から光が消え常に無言。理由を尋ねても答えない。私がわからないとすごい形相でにらんでくる。周りからはヒットラーとユダヤ人みたいだと言われ、周りの男の子も手がつけられなく放置だった。自分の思い通りに事が進まないと初対面の人であれ、それが年上の人であれ、バイト先の店長であれかまわずふてくされ、終始無言を貫いた。相手が質問しても無視し続けるのである。さすがにこの態度には愕然とした。しかし何しろ精神的な圧迫が私にはあった。無言のまま光の無い目でにらまれ続けられるのは苦痛であった。しかし、逆に優しいときはものすごく優しい。その差が大きく、私自身も少しおかしくなっていたかもしれない。このときは無意識のうちに何回も何回もため息をつき、彼からの着信音が聞こえただけで胸がしめつけられたり焦ったりしていた。そしてこれはまだ、単なる序章にすぎなかったことを後々知ることになる。
続く・・・![]()