にいにい、自分のをちょんぎっちゃうらしいわ。自分でするって。


(自分のって? アレですか? 失神しちゃうくらい痛いらしいですよ?しんじゃうかもわからないのですよ?)


ねえさまの名誉のためにいっておくけど、ねえさまとにいにいはなんの関係もないの。その上で、今後ねえさまと会うこともなくなるのなら、もういらないからって。


(谷崎潤一郎の世界のような、、)


春琴抄?春琴抄とはぜんぜん違うわよ。にいにいの場合は文学の価値はないわ。


(僕は、春琴抄という題名が好きで)


変な亀ね? あーくんは。







にいにいは一途だって言ったでしょう?


(はい)


心だけじゃなく身体もねえさま一途でいようと決めてたの。自分でも言ってたけど。


(しぬつもりならそんな痛いことをしなくてもいいですよ)


簡単にいえば自傷ね。アイデンティティの再確認なんてできないと思うけど。


(合鍵をください)


女性にあげるんでしょう? 家の鍵を渡すのは告白と同じじゃないの? でも、そんなもんもらったら負担にしかならないから。


(そんなことはありません。にいにいさんが言っていましたけど、自宅に帰るのがしんどい時は、こちらへ来たらいいよって、合鍵を渡してくれた叔母さんがおられたそうです)


それは親戚だからよ。


(実際にその合鍵を何度も使ったって言ってました)


だから、今のエピソードとあーくんのつもりとなんの関係があるの?


(自宅に帰るのがつらいとき、いつでもここへ来ていいんだよと言って渡せば、告白などとは別物の優しさではないですか?)


あーくんの言うことが100パーセント間違っているとは言わないけど。


(そうでしょう?)


ただし、渡す相手によるわよ。ここから元町への通勤は大変だけどねえ。


(ドキッ❗)




 


それで、あーくんはわたくしたちのじさつを止めるとか、そういうことはしないのね?


(えっ?)


どうせ世間にも亀にもなんの期待もしてないけど。





原画 : Kurumi-chan (probably) 




(今日はもう出かけてはいけません)


深夜便で高松へ行くのよ。


(すぐ眠ってください。神経の興奮を冷ましてください)


興奮なんてしてない。


(口調がきついし声が大きいです)


声のピッチまでも2オクターブ上がってたら、あーくんにどきどきしてるのかもね。


(嬉しいです)


そんなわけないでしょう?バカ❗







(横になってください)


よくそんな命令ができるわね?


(命令なんてしてません。お願いしているのです)


土下座してよ。


(むーちゃん、、)







わたくしいつもとまったく同じよ。優しいだけで好かれない。いい人なだけで心は寄せられない。死んでもだれにも知られない。じさつしてみろザマアミロだ。


(だれもそんなこと思ってませんよ)


わたくしが間違ってるのは自分で分かってるの。でももうだめなの。生きづらいの。楽しくないの。もう長くないんなら、早くしにたいの。


わたくしはいくら頑張っても、ねえさまみたいに結果は出せない。それはきっと悪の道を歩んできた罰なの。勉強しても希望はない。好きな人がいてもどうかなるわけではない。生きかたはとうの昔に忘れたし、話ができる人もいない。それどころか、人からは避けられるばかり。もちろん、それは人間関係の築きかたが下手すぎるから。


いつの間にかいなくなっていたい。そして何年も存在していたことを忘れられていたい。お墓なんていらない。たんぽぽの綿毛みたいに、気がついたときには全部なくなっていたい。わたくしはヒマワリじゃないから、子どもたちが目を丸くして見るような、素晴らしい花にはなれない。空に向かって伸びたりしない。地べたを這って風に飛ばされるの。だれにも気づかれずに。