私は8年前の11月に突如、脳梗塞で倒れその後長期の入院生活を余儀なくされ、翌年のゴールデンウィークに退院し自宅へ戻りました。重い後遺症が残りましたが、なんとか身の回りのことが一人でできたので訪問介護やデイサービスを利用せずに暮らすことができました。しばらく日中はkittyと過ごす日々が続きました。kittyは喜ぶでもなく病前と変わらぬ様子でした。一人で留守番することがほとんどなくなったので、少しは嬉しかったのかもしれません。kittyは生まれてすぐ我が家へ来たので親猫の愛情や兄弟と遊びを通して猫として必要なことを学んでいませんでした。

どのくらいの強さで噛んだら痛いかとか、取っ組み合いをどうやって制するかなどなどです。だから地域猫のコミュニティーに入っていけず、一匹オオカミではありませんが近所の猫が遊びに来ても一向に仲良くなれず、威嚇したり大声で鳴いては追い返してしまいました。

ある夏の暑い日に遠くからkittyの小さな鳴き声が聞こえました。家の中ではないような中のような・・・床下から聞こえましたなんとか外に出て縁の下の通風口から「キティー!」と呼ぶと「ニャーンニャン」と必死で泣いて通風口まで来て「ニャーンニャン」出せ出せと鳴きました。どこから迷い込んだのかわかりませんが、多分、地域猫に追い詰められてユルユルの網に頭を突っ込んでなんとか逃げたけど逆からは出られなくなったような状況で、迷路のような縁の下でどうしたらいいのかわからなくなっているようでした。何箇所かの通風口で「キティー」と呼ぶとそこまで来て「ニャーンニャン」出せ出せの繰り返しです。多分ここだろうと思われる、ユルユルの網が外れそうな通風口が見つかりました。ただそこで呼んでも遠くで鳴声が聞こえるだけでそこまでは来れないようです。最終的には通風口まで来れる場所の網を壊して救出するか、元気だったら1階和室の畳をあげて助けようか考えましたがその時の私にできることはかなり限られていて、このまま何日も脱出できず、鳴声もしなくなって床下で息絶えてしまったら嫌だな、などと考えていました。床をコンコン叩くとその付近まで来て床下で「ニャーンニャン」と鳴きます。そんなことで半日過ぎてしまいました真夏で飲み水もなく猫だって熱中症が心配です。私も喉が渇いて冷蔵庫へ冷たい飲み物を取りに行った時です。「ここだっ!」ひらめきました。キッチンには床下収納がありました。早速開けて中にしまってある使わなくなったフライパンや鍋、ラーメンや缶詰を取り出して、大きな収納ケースを動く側の手足を使って持ち上げてはずすと床下の砕石が見えました。落ちないように気をつけて

「キティー!」何度か呼ぶと遠くで「ニャーン」と鳴くのが聞こえました。これでなんとかなるかもと思いました。2時間くらいたったでしょうか「ニャオーン」とキッチンで鳴声がしました。急いで見に行くと「大変だったのにー」と言いたげにkittyが座っていました。

「 kitty おかえり! 」心配したんだぞー」動く側の手で抱きしめてあげましたゴロゴロゴロ・・・これが何年か前の夏の日の出来事です。この日から「キティー」と呼ぶと「ニャーン」と返事をするようになりました。しかし毎回必ずというわけではありません。