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毎年5月に開催の「花火観賞士のつどい」も、今回で4回目を迎えます。
ここでは毎回、一流の花火師さんを呼んでの特別講演が企画されるところ、
今年の講師は愛知県岡崎市より、株式会社磯谷煙火店代表取締役社長・
磯谷尚孝(いそがいなおたか)さんでした~♪♪♪

磯谷さんの作品は、過去記事でも何度かご紹介
http://blogs.yahoo.co.jp/gionkashiwazaki/36296070.html
http://blogs.yahoo.co.jp/gionkashiwazaki/35176922.html
しておりますが、独創的で気品ある美しさの割物花火やメロディ花火(登録商標)は、
本当に「さすが」の一言・・・。日本最高峰たる大曲の全国花火競技大会でも、
内閣総理大臣賞を二度獲得するなど、紛れもなく全国でも指折りの花火師さんです。
そしてワタクシ、“♪♪♪”が付くほどにファンだったりするわけですが(笑)

さて、そんな磯谷さんの講演は「私の花火に関する“思い”」というタイトルでした。
花火は120年続く家業であり、尚孝さんはその4代目にあたるそうです。

両親は花火にかかりっきりだったため、小学校時代の夏休みはどこへも連れて行ってもらえず、
子どもたちだけで遊ぶしかなかったとか。中学時代から花火の手伝いを始め、やがて高校から
大学へと進学。そして、大学を卒業すると同時に、花火を仕事に定めたわけですが、
決めるまでにはご本人相当悩んだそうです。ときどき事故で亡くなる花火師さんもいるところ、
「自分は花火で死んでいいのか?」
と、再三に自問自答。この仕事に就いてしまったら、もう結婚は出来ないかな・・・と、
そんなことまで考えた末、「それでも自分は花火がやりたい!」と決断したのだそうです。

そして今、日本の打揚げ花火業界は、あまり安心していられない状況とのことでした。
中国から安い花火が大量流入しているところ、最近は日本の物と遜色ない程度に質も上がっているとか。

愛知県は玩具花火の生産も盛んだった(かつては全国の8割を生産)そうですけれど、
そちらの世界では、今や市場に出回る9割が中国製品。
10年前には愛知県内に20軒を数えた玩具花火の業者も、
今や年1軒くらいのペースで廃業に追い込まれているそうです。

打揚げ花火も玩具花火と同じ道を歩みはしないか?
まさに現在、それが危惧されているのです。

「4号玉」という小型の花火でオリジナリティが出せない業者は、
おそらくは熾烈な価格競争に巻き込まれ、先行き危ないやもしれない。
中国花火や他社との差別化を図るべく、いかにオリジナリティを出していったら良いか。
どこの業者も中国花火は使えるという状況で、自分独自の玉を使えるところは強い。
磯谷さんはそんな認識のもと、花火作りをされてるそうです。

さて、花火のオリジナリティを対外的にアピール出来る場は、「花火競技大会」ということに
なりますけれど、出品する側として、これは精神的に相当疲弊するそうです。
一生懸命手作りした花火玉には、自然と愛着が沸くもの。
自分の思った通りうまく開花してくれるかどうか、
子供を送り出す親のような複雑な気持にもなるのだとか。

そしてやはり、花火師として気になるのは「審査結果」ということになりますが、
「自分以外の花火について、審査結果が自分の価値基準と合っていたかどうか?」
という“納得感”の点、磯谷さんは大変重要視されてるそうです。
あまりにそこの乖離が激しい場合、どんな花火がお客さんに喜んでもらえるのか、
次の花火作りの指針が定まらずに、悩んでしまうこともあるとかで。

そして、話の最後に、花火愛好家についても触れていらっしゃいましたが、
そういう人たちがいることを知ったのは、今から約15年前のことだそうです。
今やインターネットの時代、そういう趣味もグループ化がしやすくなりました。
やはり、「反応がある」というのは、花火作りをしていく上でとてもありがたいことで、
「励ましがモチベーションに直結」しているんだそうです。

花火愛好家の中には「一玉の魅力」ということを語る方もいらっしゃるそうですが、
そういう花火ばかり集めようとすれば、とても採算あわないというのが現実問題。
しかも運営に気を取られ、花火を見てない主催者も多いそうで、そういうところの大会は、
質よりも安さ重視になりがち。。。すると、費用をかけず玉数多く上げられる業者さんが、
結局のところ入札で落としていくという流れに。

花火大会の価値は玉数で決まるものではないはずで、そこのところ
花火を見る側の意見としても、主催者に声を届けて欲しいというのが、
我々に期待されている部分だとか。 (※度が過ぎない程度でなら、これには私も賛成です。)
磯谷さんとしても、一味違う花火大会を作っていくべく頑張りたいとのことでした。

なお、この磯谷さんの講演のあと、大曲花火倶楽部副会長で花火研究家の小西さんを講師に、
フォローアップセミナー「磯谷尚孝の世界」も開催されました。
磯谷花火の素晴らしさについて、見る側の立場から熱~い語りがあったのでした(笑)

音楽とシンクロした花火を日本で初めて成功させただけでなく、
360°どこから見ても「形」が楽しめる花火作りにもこだわり、
さらには、そんな特別な玉一発一発を際立たせる「間」の取り方。
「こう見せたい」という独自の哲学に裏打ちされた磯谷花火だからこそ、
やはり、一味も二味も違う魅力を備えているんですね。

ちなみに、写真2枚目は新潟の小千谷市で毎年9月に打ち上がる四尺玉の玉殻。
写真3枚目は、この「つどい」の場を借り開催された「日本花火鑑賞士会」設立総会の横断幕。
そして、最後の写真は、大曲のイメージキャラクター「つつどん」と「たまちゃん」です。

             [出席日:平成20年5月31日]

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★関連記事
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http://blogs.yahoo.co.jp/gionkashiwazaki/32550362.html 第3回花火鑑賞士のつどい(2)
http://blogs.yahoo.co.jp/gionkashiwazaki/33839509.html 第3回花火鑑賞士のつどい(3)
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