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男鹿半島の内陸山間部に作られている観光施設で、この辺りの典型的な曲家(まがりや)民家にて、
地元・真山地区のなまはげ習俗が体感できるようになっています。

実は11月12日(日)に男鹿市観光協会主催のナマハゲ伝導士認定試験というのがございまして、
その研修の一環で、こちらにも行ってきたところです。

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男鹿のナマハゲ行事は、半島のほぼ全域で行われているそうです。
昔は旧暦の一月十五日でしたが、今では毎年大晦日の晩に行われています。
昭和53年に、国の重要無形民俗文化財に指定されました。

戦後の調査では、男鹿周辺の88集落でナマハゲ行事が行われていたらしいのですけど、
現在まで引き継がれているのは、うち65集落。「ナマハゲ」と一言でいっても、
その集落ごとに、お面の特徴などそれぞれ異なっているそうです。
平安時代に始まったとも、三~四百年の歴史があるとも言われますが、
この風習がいつから始まったのかは正直定かでないとか…。

男鹿半島を海上から見ると、ちょうどぽっかり浮かんだ島のように見えるそうですが、
その船の道しるべとなっているのが半島にある本山と真山。
これらの山は村の生活の守護してくれる存在であり、古くから「お山」と呼ばれ、
厚く信仰されてきました。「お山」は、山伏達の修験の場として利用されていた場所でもあります。
そのため、ナマハゲの原型は、これら山の神や山伏の姿ではないかという説も有力だったりします。

また男鹿には、村人が鬼をだました話も残っています。昔、漢の武帝が5匹の鬼を従え、
男鹿にやってきたのだといいます。武帝は鬼達を酷使していましたが、その報酬として、
年に1度、正月15日だけは好きなことをやって良い…という許可を与えたのです。
喜んだ鬼達は、門前の部落にやってくると、作物や家畜に留まらず、村の美しい娘達まで
さらっていったのでした。こうして年に1度、村を襲いに来るようになった鬼達に対し、
村人達は大きな賭けに打って出ました。
「もし一晩で、村から五社堂まで千段の石段を造れたら村の娘を差し出すが、
出来なかったら村から去ってもらう。」
という約束を、鬼達と取り交わしたのです。よもや出来ないだろう…と半分タカをくくっていた
村人達でしたが、鬼達は十二キロも離れた寒風山から巨石を抱えて一っ飛び。瞬く間に、
石段を造り上げていったのでした。そして、その石段があわやあと1段で完成というところ、
機転を利かせた一人が一番鶏の鳴き真似をし、鬼達をだましたのです。間に合わなかったものと
思った鬼達は大いに怒り、近くにあった千年杉を引っこ抜くと、大地に逆さに突き刺し、
そして二度と村に来ることはなかったといいます。これが「武帝の五鬼」という伝説ですが、
これを聞いた後世の人達が“鬼の祟り”のないようにと、ナマハゲを始めたともいわれます。

その五匹の鬼達は、二匹が親鬼で三匹が子鬼であって、まもなく親鬼の二匹は亡くなったものの、
三匹の子鬼達は男鹿の山に棲みついたという話もあります。そして、その二匹の親鬼の牙を入れた
箱を腰に下げ、ナマハゲは山から降りてくるとも…。この二匹の親鬼は、いわば村人達にとって、
自分達の祖先の象徴のようなもの。すなわち、ナマハゲがやってくるというのは、自分達の祖先が
帰ってくるのと同じことなのです。だからこそ大晦日の晩、家の主人は正装してナマハゲ達を迎え、
膳を出して丁重にもてなし、そしてまた、翌年の来訪を約束してもらう…というしきたりになった
とも。。。いずれにせよナマハゲが荒々しいのは、悪霊を追い払うためにあれくらいのパワーは
必要、、、ということで、一応そんな説明もつくわけです。

ナマハゲの面も、完全に鬼の形相だったり、山伏風の顔だったりと、集落による違いが顕著ですが、
ここ真山の場合は“山の神”と考えられていているので、お面に角がないのが特徴です。また、
シコの踏み方にも注目!まず、家の玄関を上がる前に7回シコを踏みます。そうして、
「ウオー、泣ぐ子いねが。怠け者いねが。言うごど聞がね子どらいねが。
 親の面倒み悪りい嫁いねが。ウオー!!!」
とばかりに家中探し回るわけですが、頃合いを見て主人が、
「ナマハゲさん、まんず座って酒っこ飲んでくなんしぇ。」
と、お膳をすすめます。そしてナマハゲは、ここで5回シコを踏んでから着座し、
主人と作柄や家族の様子などについて問答を行う流れです。そして、その問答が終わると、
また最後に家中をまわりますが、そこでお膳を立つ際には、3回のシコとなります。
つまり、全体でのシコ踏みは七・五・三の順。昔は旧暦一月十五日に行われていたといいますが、
ちょうどそれぞれ足し合わせると、“十五”という数字にもなるのです。

さて、写真ではひたすら恐そうな印象受けるかもしれませんが、問答の実演は、傍で聞いてて
なかなか笑える内容でした。まぁ、お約束どおり(?)客席襲いにも来ますんで、
もし行かれる場合、心の準備はなさっておいてくださいね♪

大人にとってはとても面白いスポットとして、個人的にはおすすめしておきます (^-^)