上京して約2年半後、都会の荒波に揉まれまくった(笑)私は、地元福島に帰ってきた。
地元に遊ぶところなんて何もないけど。
高校の頃、隣の家に住んでいた幼馴染が引っ越し、家の前でバトミントンをしたり公園で遊ばなくなった私はそう思っていた。
実家に舞い戻った私に父が言った。
「一切経山に登らないか。」
一切経山…
といえば小学生低学年の頃父に連れられるがまま姉と妹と登った山。
初めてあんなに標高高い場所に来たもんだから気持ち悪くて悪くて、母の作ってくれたお弁当も残してしまったな。
まぁでも、東京での生活で自然に触れたのはほんの数回だし、気分転換になるかな。
そう思った私は、父と十数年ぶりに一切経山に登ることにした。
2013年9月29日――
久しぶりにこんなに歩いた。
そして、こんなにも高揚感を抱いたのは何年ぶりだろう。
丁度紅葉の時期真っ只中。
小さい頃登ったときにはなんにも思わなかったのに、次々変わりゆく美しい景色は疲れた私の心に癒しを与えた。
思わず「うわぁ…」と声が漏れる。
あともう少しで山頂、
私は記憶の片隅にあったあの景色を再び脳内に描き、いつしか疲れを忘れ、駆け上がっていた。
上り坂が終わり、私は足を止めた。
目の前には限りなく続く青空と、日の光を浴びてコバルトブルーに輝く五色沼が吾妻連峰の山々に守られるようにしてそこにあった。
この日から私は福島の素晴らしい自然の美しさに魅了されていった。