介護(介助、ケア)とは何だろうか?と考えることがあります。
漠然としすぎていますが
もっともシンプルな答えは
「(その人の)できないことをお手伝いする」ではないかと思うのです。
逆に言えば「できることは手伝わない」・・・です。
「できることを奪わない」という言い方もあります。
ただし、「できる」「できない」の見極めは非常に難しいところがあります。
立ち上がるという動作ひとつとってもそうなのですが、
座っている場所(椅子、ベッド等)の座面の高さ、掴まる場所の有無、その日の体調、気分によってできたり、できなかったりします。
どういう時はできるのか?どういう時はできないのか?
観察が必要です。
観察には五感で接する(声をかける、見る、聞く、触る、嗅ぐ、心の状態を推察する・・・)ことが大事です。
 とある介護職がTVで言っていました。
「話しかけて、手を握って、ハグすれば五感を使った情報が得られる」・・・と。
 体温、握力、見た目の様子、声の力、話の内容、体の臭い・・・その時の体調、気力が大体わかるというのです。確かにそうかもしれません。
そういう日々の情報をフル活用し、できる、できない、できるレベルを見極めます。
介護プランも綿密に練る必要があります。
介護職全員がプランを知っておく必要もあります。
その時のできる内容をきちんと見極めたうえで、
(本人の)できることは声掛け、見守りのもとでやっていただく。
できないことだけお手伝いする。
   できることを増やすようにする・・・
   できることを減らさないようにする・・・
というのは大事だと思います。
見守りはまどろっこしいところがあります。
声掛けの方法を間違えば不親切な介護職というレッテルを貼られます。
介護職はいつも時間に追われています。
サクッと手伝った方が、多くの人の介護を短時間にできるのは確かなのですが。
しかし・・・
長い目で見たときに、自分で自分のことができる高齢者が増えた方がいいと思うのです。
寝たきりから車いすへ
 先日、食事の時間以外は寝たきりのKさんが「立ってみたい」と仰いました。
いつもは介助式リクライニング車いすで移動の方です。
もちろん立つことはできません。
試しに自走式車いすに座っていただきました。
なんと、ゆっくりですが自走して食堂まで行き、しばらく車いすで座位を保てました。
後から感想を聞くと、自分で、自分の行きたいところに行けたことをとても喜んでいらっしゃいました。
Kさんの離床時間、自走式車いすで過ごす時間が増えることを願っています。
ちょうど『ユマニチュード入門』という本が手元にあります。
勉強したいと思います。

