<横浜0-5阪神>◇6日◇横浜
右の大黒柱で奮闘してきた阪神久保康友投手(30)が、今季初完封でレギュラーシーズンの有終を飾った。横浜を4安打に抑え7奪三振。虎の右腕では89年キーオ以来、日本人右腕なら81年小林繁以来となる14勝目を挙げた。久保は200イニングにも到達。開幕から唯一、ローテーションを守ったタフネス右腕が、CS突破に導く。
最後までエースのような振る舞いだった。スコアボードには9つの0を並べてみせた。レギュラーシーズン最終登板。久保はシーズン自己記録をさらに更新する14勝目を、今季初完封で飾った。張り詰めていた緊張を解かすように、ナインが笑顔でマウンドに集まる。先発投手としては最高の瞬間。それでもこの男は、白い歯を一瞬見せただけだった。
「とにかく先に点をやらないようにとだけ考えて投げました。最後(9回)は代わるかなと思ったけど、代わりませんでしたね」。散発4安打7奪三振。9回に2安打されて2死一、二塁のピンチを背負ったが、それまでは得点圏にすら走者を背負わなかった。四球もわずか1。併殺も2個奪うなど、横浜打線をまったく寄せ付けなかった。
今季はまさに、獅子奮迅の活躍だった。3年連続開幕勝利を挙げた安藤が不調で2軍落ち。エース級の活躍を期待された能見もケガで離脱するなど、苦しい台所事情をたった1人で守り抜いた。特に優勝争いが激化した9月以降は6試合に先発して3勝しか挙げてないものの、この間の防御率は1・23と抜群の安定感を誇り、気付けば投球回数は自身初の200イニングを突破した。
それでも久保は「まだ終わったばかりだから実感はない。それを感じるのは現役を辞めてからじゃないですか。それ(シーズン200イニング)を何年も続けているわけでもないですしね」とひょうひょうとしていた。未知の領域に足を踏み入れてもぶれない芯の強さ。それがこの男を支え、最も頼りになる存在へと押し上げた。
中日への挑戦権を懸けたCSファーストステージは、16日に開幕する。能見、スタンリッジで組む「先発3本柱」の一員として、まずは巨人にぶつかる。真弓監督は今季の久保の活躍ぶりについて「素晴らしい。今日もよかったし、ずっといい投球をしてくれている。CSも任せられる? このままだったら十分、大丈夫でしょう」と絶大な信頼を寄せた。先発として最高の結果とも言える完封勝利に、決して浮かれない背番号34。何とも頼れる男だ。
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