奏受験記に戻ります。
落ちるパターンを妄想し、前日に目標を設定したところまでお話しました。
このような状態で、2月25日、いよいよ東工大入試本番となりました。
花子同様、私立併願校にはすべて合格している状況でこの日を迎えることが出来ましたので、精神的にはだいぶ楽だったように思います。
奏は共通テスト初日と同様殆ど眠れなかったようですが、表情は良い緊張感に、満ちていました。
出発のその時、眠っていたはずの花子が起きてきて玄関にやってきました。
その瞬間、奏は表情が緩み、笑みがこぼれました。
玄関先で、花子は奏の手を握り、「頑張って」と声をかけ、奏も「頑張ってくるね、行ってきます!」と元気に出発しました。
残された私は、共通テスト時と同様に
「今頃、会場に着いたかな?」
「いよいよ、数学始まったかな?」
「昼休みになったけど、食欲はあるかな?」
「英語、奮闘中かな?」
。。。。
などと、奏の健闘に想いを馳せながら1日が終わり、そして、奏が帰宅しました。
奏は、微妙な表情で
「数学は失敗した。2完。
英語は、簡単だったと思うが、出来ている自信はあまりない」
「たぶん、明日が勝負だと思う」
とだけ話し、東進の自習室に行ってくるといって出て行きました。
私は、あまりうまくいかなかったようだが、致命的ではなさそうだな、とひとまず胸をなで下ろしていました。
しかし、数時間後に帰ってきた奏の一言に衝撃を受けました。
奏が放った一言。
「さっき、2完と言ったけど、やっぱ、1完だったわ。」
そして奏は
「明日が勝負だと思うので頑張るわ」
と言い残し、自分の部屋に入り扉を閉ざしました。
1完??
想定していなかった大事件です。
こうして衝撃の1日目が終わり、私は、また眠れない夜を過ごすハメになりました。。。