誘われたり、誘ったりするものの実現しなかった2人でのご飯。

既婚者は飲み会も大変なんだなぁと思いつつ、私は私で同期や友達と遊ぶのが忙しい毎日だった。

そんなある日の拘束時間が終わる1時間前くらいだった頃、受け持ちの患者の容体が急変した。
急変するような人ではなく、ノーマークだった患者さん。
彼は担当医だった。
研修医にコールしたが、彼も急いでかけつけてくれた。
重症部屋にうつして、対応。
スタッフは他の患者さんの対応で忙しく、1人で急変対応しなくては、いけなくなった。
患者さんも、先生も私も出来ることはしたが、亡くなってしまった。

その後の家族の対応などにも追われ、やっと座れたのは拘束時間が終わる3-4時間後。
廊下にいくと、彼が立っていた。
今日終わる?このままご飯いこう!今日頑張ってもらったお礼を!と言われた。

疲れていたけど、話したいこともありご飯にいくことに。
車で玄関まで迎えにきてくれ、2人で彼の好きなご飯屋さんへ。
そこで、今日の出来事の振り返りや最近の私のイライラ話など聞いてもらった。
彼も疲れていただろうに、真剣に話を聞いてくれた。
本当に落ち着くなぁと思った。
数時間話をして、寮まで車で送ってくれた。

車から降りると、今まで見たこともないくらいの優しい顔でまたね!と陽気に笑顔で手を振っていた。

話を聞いてくれてありがとう!と思いつつ、こんな人がずっと傍にいてくれたらと思った。
今思えばこの日がなければ、私達は過ちを犯すこともなかった。