ASCO 2025(米国臨床腫瘍学会)からの報告.
化学療法+免疫チェックポイント阻害剤の治療を行った
進行性非小細胞肺がん(病期IIIC〜IV)の患者さんで,
15時までに治療を受けた患者群のほうが,15時より後に
治療を受けた患者群より有意に無増悪生存期間(PFS),
全生存率(OS)とも延長するというもの.(詳細省略)
(無作為化比較PhaseIII試験:NCT05549037)
免疫細胞の機能や分布には概日リズムが関与していることは
昔から指摘されているところ.概日リズムとは,約24時間
周期で変動する生体リズム(生理現象)のことで,体内時計
というとわかりやすいか.
さて,今回の試験で以下のことが確認されている.
・CD8陽性T細胞(キラーT細胞)は15時前投与群で増加し,
15時以降投与群で減少していた.(p<0.001)
・CD8陽性T細胞/CD4陽性T細胞の比率は,15時前投与で
増加し,15時以降投与群で減少していた(p<0.001)
・活性型CD8陽性T細胞/消耗型CD8陽性T細胞の比率は,
15時前投与群で15時以降投与群よりも有意に増加していた.
(p<0.001)
以上ざっくりいうと,化学療法+免疫チェックポイント阻害剤
の治療を免疫状態の良さげな日中〜15時までに行うと治療成績
が良くなるよ,ということらしい.
その他,話は変わるがインフルエンザワクチンを午前中に
注射すると抗体価が高くなるという報告があったりもする.
まぁ,概日リズムと治療の関係性は,昔からチョコチョコと
あった話かな.