これまでは、情報が多いほど安心につながると言われていたが、情報があり過ぎるとストレスが浮き彫りになるらしい。目を背けることも、逃げることもできなくなり、より正確な情報を見極めることができない。確かに今回の原発事故に関しては情報はそれなりにあるが、虚実取り混ぜてあり、見極めが大きなストレスに繋っているような気がする。それならば情報を一旦傍らにに置き、ジョークに逃げるしかないのであろうか。
嘘か真か。パイロットインキは、氷水を入れると容器の色が変化し、お酒を飲んでいるように見えるおもちゃ製品を6月11日に発売するらしい。何と3・11の3か月後である。この日は関東で大きな地震も起きると噂されている。謳い文句は「下戸の方も楽しくお酒を飲んでいる気分になれるジョークグッズ」。
■『嘘ビール』は、氷水を入れるとビールが入っているように見えるジョッキ。炭酸水を入れたらさらに本物っぽい演出が可能になります。中身は水だから、何杯飲んでも健康に影響なし。
『嘘ワイン』は、赤ワインを飲んでいるように見えるワイングラス。
『嘘カクテル』は、ブルーのカクテルを飲んでいるように見えるカクテルグラスです。
いずれも、温度変化で色が変わるパイロットインキの『メタモインキ』を応用したもので、中に入れる液体の色と容器の色で、さまざまなアレンジも可能。たとえば『嘘ビール』にトマトジュースを入れるとカレー、『嘘ワイン』に緑茶を入れるとトロピカルジュース、『嘘カクテル』にコーラを入れると麦茶に見える。
しかし、今回の嘘と詭弁騒動はジョークとは言っていられない。菅直人は、原発情報に関してG8でも嘘つくなと念を押され、隠し立ては今後しませんといっていた。さらに、菅内閣はずっと嘘と隠蔽を続けながらも、何度も国民に嘘はつかないと約束してきた。「愚かな」と言われている鳩山内閣の時は「臆病」「うそつき」「無責任」がキーワードになった。「卑怯な内閣」と言われ、「大衆迎合とずるさ」を持つ菅一派のしたたかさはその強さを増している。閣僚が国会で嘘をついても責任を問われないという答弁書を閣議決定したらしい。書き始めるときりがない。
先月、原発維持で同調した韓国の李大統領、中国の温首相はニコニコしながらぬいぐるみやウチワを配り、食の安全のためと称し「雁首を揃えて野菜をほおばってみせる」醜悪パフォーマンスを行った。そしてカイワレの原体験が忘れられないのだろうか、感極まって「安全性を最も効果的にアピールすることができた」という自画自賛的な発言があった。もしかして、あの時が絶頂期だったのだろうか。「さくらんぼ」がいつの日か「奇妙な果実=ビリー・ホリディ」になるやもしれない。
どうも菅直人批判にならざるを得ない。後ろに陰にもっと悪巧みをしている人間たちがいるのは分かっているが、今回はどうしてもいくつかは書いておかなきゃならないという気持ちになっている。一方、政治の世界では高級官僚主導で庶民いじめが進行している。年金医療介護で増税、復興財源で増税、電気料金値上げ等々である。
■現行5パーセントの消費税率を2015年までに、2~3パーセントずつ、2段階的に分けて10パーセントに引き上げる案が浮上している。”税と社会保障の一体化"は、年金や医療、介護といった社会保障経費を言っているのであって、復興のための財源はまるで入っていない。復興は復興で、“復興構想会議"と言うものがあって、そこでも限定的にとしてはいるが、復興財源を増税で賄おうと盛んに言っている。
街頭インタビューによく使われるのは新橋駅の機関車前である。新橋のおじさんたちやお姉さんたちはどう把握、理解しているのであろうか。”被災地でご苦労している人の事を思ったら増税もやむなし"と言うような話がほとんどで、概ね好意的な意見ばかりである。本当に、人のよい人達ばかりだ。日本は、落ちるとこまで落ちないと駄目かもしれない。「震災で混乱のなかにあるときに、政局に明け暮れることは許されない」とか「退陣させて、代わり得るリーダーに誰がいるのか」の常套句を信じてはいけない。無論マスコミの取捨選択による世論誘導もあるが、鵜呑みにすることだけはするなとしか言えない。
「急流で馬を乗り換えるな」は、馬が急流をしっかりわたっているときの格言だが、馬が背中の国民を水の中に投げ出そうとしているなら、一刻も早く馬を代えなければ、国民が助かる見込みはなくなる。正しい眼差しだけは維持していきたい。