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 黒々とした煙が、暗い夜空に広がっていく。上空の闇が一層深くなる。

 赤黒い炎が、王宮の隅にある食料庫を包み込み、尚も勢いを増し続けている。

 地面には、至るところに真っ赤な血が落ち、まだ乾いていない。

 踏まれて花の萎れた花壇、煤にまみれた木の幹や建物の壁、傷だらけの柱、そこにある全てのものに血が飛び散り、そして、倒れた兵士の体の周りには、血の池が出来ていた。

 深手を負った兵士たちが、薄暗い廊下に折り重なるように倒れている。

「うぅ……」
「陛下……」
 
 僅かな呻き声がするが、ピクリともしない体も多くあった。

 壁に吊るされたランプにより、薄らと照らし出されたその光景は不気味だった。

 

 彼かが守ろうとした、王宮、最上階の一室、王の寝室に居るのは、国王とその側近の男、そして、彼らに敵対する者。

 深い闇に飲まれてしまいそうな部屋は、壁のランプには火が灯っておらず、ベッドの側のランプ、たった1つだけが、ぼんやりと辺りを照らしていた。

 

 国王、サディトスは、ベッドの側まで下がり、その手前に、側近の男が彼を守るようにして立っていた。

 その男も左脇腹を刺され、大量の血が溢れている。しかし気にする素振りは一切ない。剣を力強く構え、対角線の入口に立つ敵の男と睨み合っていた。


 敵が剣を振りかざし、2人の方へ向かって来る。
 素早く振り下ろされた剣を、側近の男が真正面で受け止める。

 鈍い金属音が響いた。

 黒光りする剣が、力ずくで振り下ろされようとするが、受け止めた手が押されることはなかった。

 少しの膠着状態の後、敵は一度離れ距離を取った。

 側近の男もすぐに体勢を立て直す。

 そして、間髪入れずに正面から突っ込んで来た相手を冷静に見据え、その首元を狙った。

しかし突然相手が目の前から消えた。

 いや、彼の体が床に倒されていた。

 敵が足を薙ぎ払ったのだ。
 彼は、怪我をしていた左脇腹を打ち、強い痛みに身を丸める。

 相手の目が光る。
 国王サディトスと敵との距離は3m程。

 2人の目が合った次の瞬間、その男は、サディトスの目の前に現れ、剣を振り下ろした。

 

to be continued……