『救世主トランプ―“世界の終末”は起こるか?』(近代消防社)という書籍を出版し、3月25日に内容に関する講演、その後に懇親会を行った。書籍の内容は、トランプ大統領は理性一辺倒の既存の官僚的政治と、それによる経済グローバル化等による格差拡大、そして民族精神の疎外と闘っている救世主的政治家だというものである。
そのような内容を講演で説明させて頂き、その後の懇親会で多くの方々から質問を受け、それに私なりに自分の考えを整理して回答させて頂いた。その結果として私のトランプ政権に関する認識も広がり、もし次に同様の本を書くとしたら、より良いものが書けそうに思った。
そして気がついた。トランプ大統領が批判している理性主義とは古典的な理性主義であり、トランプ大統領こそ真の現代的理性主義者なのではないか、と。
私が講演を聴きに来てくださった方々を壇上から一方的に理詰めで説得し、トランプ大統領が素晴らしい政治家であると無理にでも納得させようとしたとする。それが古典的な理性主義である。ニュートン物理、ダーウイン進化論―全て理性によって全てが一方向的に動いて行く発想である。
しかし、そのような考え方は、素粒子論や遺伝子論の誕生によって、少なくとも絶対的なものではないと考えられるようになった筈である。複数の要素が相互に影響し合うことにより、思い掛けない方向に発展していく。それが現代的な理性主義の筈なのである。
3月25日に私の講演を聞いてくださった方々は、それぞれ違った感想を持ち、それを懇親会での質問という形で私にフィードバックしてくださった。それに応えるために私が自分の頭の中を整理した。そうすることで私の考え方も広がった。私の回答を聞いた方々も、それぞれに違ったトランプ大統領に関する考えや私の講演に関する感想等を、さらに深め広げてくださったと思う。
それは決して私と同じような肯定的なトランプ評価ではなかったかもしれない。だが、それで良いのだ。そうして異質の考え方が相互に影響し合って、全体が発展して行く。まさに現代的理性主義の行き方である。
トランプ大統領は、どうだろうか? 彼は確かに自分の影響を受け入れない人や組織を排除しているように見える。しかし、それは彼の影響を全く受け入れない人や組織が、古典的理性主義に汚染されているからである。多くの反トランプのリベラル派が、それである。
それに対してトランプ大統領は、自分の影響を受け入れた人は、全てを受け入れていなくとも、重用し意見を尊重している。そして、そうすることでトランプ大統領本人も、大統領になってから良い方向に変化し続け成長していると思う。そのトランプ大統領の影響を受けて、頻繁な人事異動を繰り返しつつも、トランプ政権自体が、徐々に良い方向に成長していると思う。
私の新著の中でも、そのような過去2年のプロセスを詳細に分析し、これからを予測してみた。多くの方々の御参考になれば幸いと思う。
追記1:以上の文章は『世界日報』電子版にも掲載して頂いた。
https://vpoint.jp/opnion/133820.html
追記2:また拙著『救世主トランプ―“世界の終末”は起こるか?』は以下のURLから購入可能である。
https://www.amazon.co.jp/dp/4421009261/ref=cm_sw_r_other_apa_i_-VCNCb7E3ZAH0
「救世主トランプ」書籍説明文
トランプ氏が米国大統領になってから、その政治が余りに既存の理性主義の観点からすると、理解できない部分が多い。しかし、それは既存の近代理性主義が、グローバル経済や人工知能の発達等で自己疎外を起こし、機能不全に陥っていたためではないか?トランプ氏こそ、それを打破する“救世主”なのではないか?そのような観点から、トランプ大統領の目指す新しい政治を、米国の主流・非主流の各メディア、シンクタンク報告書そして世論調査結果等を含む豊富な資料に基づいて、今までにない角度から精密に論じ、そして日本にも大きな影響のある、アメリカと中東や中国との今後の関係に関しても展望した、既存の米国政治専門家とは全く異なる意欲作。ケント・ギルバート氏推薦。