朝は秋を感じさせる涼しさだったが、照りつける残暑の日差しの元、100歳を越えたOBはお嬢さんに押される車椅子に乗って、出迎えてくださった。

お顔を拝見し、およそ40年程前、まだ私が小学生の頃、謡(うたい)の練習で自宅に来られた時の面影が急激に蘇り、涙が出そうになった。

会社の130周年記念誌をお渡ししたところ、その社名を見て「大川印刷!」と声に出して言ってくださった。
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お嬢さんによると100歳までは、「大川印刷のことは大川印刷にいなくても、俺が1番良く知っているんだ」と話してくれてたそうだ。

もう何も言うことはない。100歳を過ぎた今も、会社の思い出を大事にしてくださっていることに、感謝の言葉もない。

手土産の金カステラを美味しそうに頬張ってくださったことも、きっと生涯忘れないだろう。

およそ1時間の面会の後、施設を出ると、清々しい気持ちでいっぱいになった自分がそこにいた。大先輩に比べたら、ちっぽけな自分だ。感謝の気持ちを込めて。
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