コロナ蔓延防止のために、飲食店などへの時短要請・命令、違反には過料といった制裁を適用するとされている。しかし、コロナは人と人の密接な接触により伝播するものであり、それは時間・場所を問わない。コロナは夕方8時から出てくるとか、飲食店にだけ出てくるものではない。したがって、時間と場所を限った制限は不適切である。時間、場所を問わず、人同士の接触の場では、人数制限、間隔確保、アクリル板設置、外気と交換する換気、マスク、手指消毒、うがいなどを励行することが肝心である。政府は、そのためのガイドラインを公表して、飲食店だけではなく、家庭内感染を防止するために家庭内でも励行するように啓発すべきである。

外出自粛などは、愚策である。外出先で何をするかが焦点である。外出先でテニスやゴルフをしたり散歩するのは、かえって健康によい。商店で買い物をするのも、店舗が上記の通りの配慮をしていれば問題がない。もともと、過度に反応して、神戸市では、森林植物園、須磨離宮公園まで閉鎖された。図書館も閉鎖され、裁判所の法廷も閉鎖されたが、あまりにも行き過ぎである。パチンコ店が目の敵にされたが、パチンコは、ただ、前を向いて、隣の人とも話もせず、黙々と打つだけであるから、コロナのクラスターを発生させたことはない。

イベントも、大相撲も、テニスの全豪オープンも観客を入れて行われている。オリンピックは外国の観客を入れないこととなったが、本来、同様の配慮をすれば、問題がない。

県境を越えた移動の自粛も、県境にコロナが出没するわけではないから、愚策である。他県からコロナを持ち込むなというのであろうが、それは県内の移動でも同じことである。都道府県単位の規制も愚策である。

問題なのは、ライブハウス、宴会とか飲み会で、大勢で至近距離で騒ぐことである。それは昼でも同じである。カラオケを一人で歌うとか、飲み屋でも一人飲みは問題がない。

営業時間短縮を求め、営業損失に対して、いわば補償を出しているが、無駄である。

時短制限を守っているか、監視指導するとして、公務員が町中を回っているが、無駄なことである。

守らせるべきは、上記のガイドラインである。これを遵守しているかどうかを役人が監視するのは不可能である。そして、違反を見つけて過料に処するには大変な行政・裁判手続が必要になる。実際には、一罰百戒の不公平なやり方しかなくなる。

そうではなく、住民に、このガイドラインを守っていない店舗には行かないようにと呼びかけるべきである。住民も自衛のためにそういう店には行かないから、店舗の方もそのガイドラインを守るのである。それでも守らない店舗があれば、顧客がそれを役所に通報するシステムを作ればよい。同じ店舗について何人からか、通報があれば、役所がその店舗を指導することにすればよく、指導に応じない店舗を公表すればよい。そうすれば誰もそんな店舗には行かない。その店は守るべきことを守らないだけであるから、補償の必要はない。

このように、役人の命令・摘発ではなく、住民への情報提供・啓発手法の方が、時間と場所を問わないコロナ対策として、有効であり、また、行政の負担を増大させないのである。