食道がんと闘います

食道がんと闘います

66歳食道がんサバイバー。
初発は2013年、ステージ3aリンパ節に転移。
手術で切除し抗がん剤治療。
しばらく無事でしたが2016年に肺転移、切除手術。
以来、異常なし。
定年退職後、大学で医療系を学び卒業、再度就職するも3か月で解雇、その後開業するも2年で廃業。

5年前のパリ訪問は食道がん術後の半ば余命宣告みたいなことを言われての旅路でありました。

何と申しましょうか、少し覚悟というか悲壮感のようなものがありました。

一方今回ですが、肺転移の術後5年を経過し、またアスペルギルスという難治性で余命を意識せざるを得ない病を抱えてはいるものの、現時点ではとりたてて何かあるという状態ではない中での渡仏です。

前回のような切迫感はありませんし、ことによれば今回が最後のパリではないかもしれない、という楽観的な気持ちも少しだけですがありました。

そういう事情もありましたので、今回のパリ訪問ではこのような考えというか抱負を持っていました。

①前回のように日程いっぱいにことを詰め込まない

②前回のように足を棒のようにして歩き回ることはしない

③パリの外食事情がわかったので食事の内容にはこだわらない

④前回、フォンテーヌブローやベルサイユまで足を延ばしたが、何ほどのことはなかったので、わざわざ時間と労力を割いて遠出しない

⑤さりながら見たいものはきっちりと見に行く

 

①ですが、前回のパリ訪問では出発前からほぼ滞在中の旅程を組み立てていました。1日目はルーブルとオランジェリー、2日目はオルセーとロダン、3日目はベルサイユ、4日目はマルモッタン・モネ、5日目はフォンテーヌブローの各美術館や宮殿をコアに、その周辺のランドマークを訪れるみたいな感じです。

今回はそういうことはしないで朝起きてからその日の天気と気分で考えよう、それもあまりキチキチにがんばりすぎないで。

そんな感じでおりました。

②ですが、前回はせっかくパリに来たのだから寸暇を惜しんでパリの街を探訪する。歩いて歩いて歩き回る、みたいなことを実行し、毎日、疲れ果てていました。今回は肺がぼろぼろの状態になっていることもあり、そんなには動けない、多少はだらだらといこう、という気持ちです。

③前回は三度の食事をきっちり取って滞在中の体力や健康状態の維持をはからなければならない、みたいな思いが強かったのですが、今回は最初からたかだか9日程度の日程、多少食べられなくてもなにほどのこともあるまい、それにパリで外食すると夕飯であれば軽く5千円を超えてしまう。

私の知る限りではパリには大戸屋や吉野家、ゆで太郎みたいな店はないのですね。

ホテルの近くのビストロとか行くとMenu(日本の定食みたいなもの)で安くても30€くらいかかってしまいます(概ね5000円)。

グラスワインとコーヒーを付けるとさらに10€アップ。

そしてそんなにおいしいとは思えない。

④前回、ベルサイユ、フォンテーヌブローとふたつの宮殿を訪れましたがいずれも期待外れでした。ただただ広くてひたすら寒かったという記憶が強烈に残っています(2月でしたので)。

いずれも宮殿内を出て広大な庭園を歩いたのですが、広くて寒くて、他に歩いている人はひとりもいないという状況でした。

時間があればモン・サンミッシェルにも遠征してみようかという野望もあったのですが、このふたつで懲りてしまったので止しました(その代わりとして訪れたシャルトルがともかくすばらしかったので、結果的には怪我の功名ともいえますが)。

⑤前回に行ったから今回は行かない、そういうことではなくて、前回訪れて心に残った美術館、絵画、街並み、そういったところは重ねて探訪する。

月並みですがルーブル美術館、日本人が好きそうなオルセー美術館、マイナーですがギュスターブ・モロー美術館、それになんといってもシャルトルの街並みです。

これらはいずれも再訪となります。

前回、見逃した絵画もあります。

例えばルーブル美術館のロマン派絵画は会場が工事中で入ることができず、ドラクロアやジェリコーの作品を見ることができませんでした。

またその合間をぬって未踏の美術館や聖堂にも足を運ぶつもりです。

 

帰国して振り返ってみると、③、④、⑤は計画通りできましたが、②については前回と変わらず、結局はせこせこと歩き回ったように思います。