夕食の後、談話室で三人は落ち着かない様子でみんなから離れて座った。誰ももう三人のことを気にとめる様子もなかった。グリフィンドール寮生はもうハリーに口をきかなくなっていた。今夜ばかりは、三人は無視されても気にならなかった。ハーマイオニーはこれから突破しなければならない呪いを一つでも見つけようとノートをめくっていた。ハリーとロンは黙りがちだった。二人ともこれから自分たちがやろうとしていることに考えを巡らせていた。
 寮生が少しずつ寝室に行き、談話室は人気がなくなってきた。貴後にリー?ジョーダンが伸びをしてあくびをしながら出ていった。
「マントを取ってきたら」とロンがささやいた。ハリーは階段をかけ上がり暗い寝室に向かった。透明マントを引っ張り出すと、ハグリッドがクリスマス――プレゼントにくれた横笛がふと目にとまった。フラッフィーの前で吹こうと、笛をポケットに入れた――とても歌う気持にはなれそうにもなかったからだ。
 ハリーは談話室にかけ戻った。

ジョーはふたりの様子をみて、その意味がわかった、そしてこ

わい顔して戸をばたんと|閉《し》めながら、「茶色の目をしたりっぱな青年なんてだいっきらい!」とつぶやいて、|

葡《ぶ》|萄《どう》|酒《しゅ》とスープをとりに|大《おお》|股《また》で出て行った。
 その|晩《ばん》ほどりっぱなクリスマスのご|馳《ち》|走《そう》を食べたことは、彼らにはかつてないことであ

った。太った七面鳥に|詰《つ》め|物《もの》をして、|狐色《きつねいろ》に焼きあげ、きれいな|飾《かざ》りを

|添《そ》えてハンナが|食卓《しょくたく》へだしてよこしたときは、全くすばらしいながめであった。プラム入りの

プディングもそのとおり、口に入れればとろりと|溶《と》けた。ジェリーも同様、エーミーは|蜜《みつ》の|壺《つ

ぼ》にたかったはえみたいに|夢中《むちゅう》になって食べた。

「フィルチか? 急いでくれ。俺はもう出発したい」 ハリーの心は踊った。ハグリッドと一緒なら、そんなに悪くはないだろう。ホッとした気持が顔に出たに違いない。フィルチがたちまちそれを読んだ。「あの木偶の坊と一緒に楽しもうと思っているんだろうねぇ? 坊や、もう一度よく考えたほうがいいねぇ……君たちがこれから行くのは、森の中だ。もし全員無傷で戻ってきたら私の見込み違いだがね」 とたんにネビルは低いうめき声を上げ、マルフォイもその場でピタツと動かなくなった。「森だって? そんなところに夜行けないよ……それこそいろんなのがいるんだろう……狼男だとか、そう聞いてるけど」マルフォイの声はいつもの冷静さを失っていた。 ネビルはハリーのローブの袖をしっかり握り、ヒィーッと息を詰まらせた。「そんなことは今さら言っても仕方がないねぇ」 フィルチの声がうれしさのあまり上ずっている。「狼男のことは、問題を起こす前に考えとくべきだったねぇ?」

「|孫《まご》のほうをうまくやったんだもの、おじいさんだってやれないわけはないと思うわ」とジョーは口の中でつぶやいた。そして、鉄道地図の上におっかぶさるようにして、ほおづえをついているローリーを|尻《しり》|目《め》に、さっさと部屋をでて行った。
「おはいり!」ジョーが|扉《とびら》をたたくと、中からきこえたのはローレンス氏のいつもの声に輪をかけたような|無《ぶ》|愛《あい》|想《そう》な声であった。
「私です、おじいさま、ご本をお返しに上がりました」とジョーは物やわらかな調子で言いながら、中へはいった。
「何かもっと読むかね?」|老《ろう》|紳《しん》|士《し》は、こわい上にも|怒《おこ》った顔をして、しかもそれを|隠《かく》そうと努めながらたずねた。

「ロン!」 突然ハーマイオニーが叫んだ。「ハリーが!」「何? どこ?」 ハリーが突然ものすごい急降下を始めた。そのすばらしさに観衆は息をのみ、大歓声を上げた。ハーマイオニーは立ち上がり、指を十字に組んだまま口に食わえていた。mbtハリーは弾丸のように一直線に地上に向かって突っ込んで行く。「運がいいぞ。ウィーズリー、ポッターはきっと地面にお金が落ちているのを見つけたのに違いない!」とマルフォイが言った。 ロンはついに切れた。マルフォイが気がついた時には、もうロンがマルフォイに馬乗りになり、地面に組み伏せていた。ネビルは一瞬ひるんだが、観客席の椅子の背をまたいで助勢に加わった。「行けっ! ハリー」 ハーマイオニーが椅子の上に跳び上がり、声を張り上げた。ハリーがスネイプの方に猛スピードで突進してゆく。ロンとマルフォイが椅子の下で転がり回っていることにも、ネビル、クラップ、ゴイルが取っ組み合って拳の嵐の中から悲鳴が聞こえてくるのにも、ハーマイオニーはまるで気がつかなかった。

「ためいきついたりしてわるかったわね、ジョー。あなたたちが今にみんな自分の家というものを持つようになるのはあたりまえなことだし、また正しいことなんですよ、でもお母さまだってできる|限《かぎ》りはあなたたちをそばへおいておきたいんですよ。こんどのことは少し早く起こりすぎて残念な気がします。メグはまだたった十七ですものね、それにジョンがあの|娘《こ》のために家をつくれるようになるのはまだ何年も先のことでしょう、お父さまもお母さまもメグがはたちになるまでは、どんなお|約《やく》|束《そく》もさせないし、|結《けっ》|婚《こん》もさせないことにしようときめたのですよ。もしあのふたりがお|互《たが》mbtシューズいに愛し合っているのなら、そのくらいは待てるはずだし、そうして待っている間にその|愛情《あいじょう》が本物かどうか試すこともできます。あの子はまじめなたちだから、ブルックさんをそまつに|扱《あつか》うような心配はありません。ほんとにかわいい、やさしい子ですよ! どうか何事もあの子がしあわせになるようにはこんでくれるといいと思いますよ」