私は日本では教師をしていました。まだ若い新人時代、先輩の先生から言われた事があります。


「例えば、ゴミをゴミ箱に捨てられない生徒がいるとする。その生徒はゴミ箱が自分の目の前にあるのに、そこに捨てずに、わざわざ遠くまで投げたりする。ゴミ箱にちゃんと捨てなさいと咎めたくるかもしれないし、なぜそのような行動をするのか理解しがたいと思うかもしれない。


そう思うあなたや私は、幸運なことに、ゴミをゴミ箱に捨てる、という教育を子供の頃から受けて来たから、そう思うのだ。誰かが教えてくれてそれが当たり前の環境なら生きて来た。それは幸運な事だ。


でも、それを教えてもらえなかった子供もいる。目の前にいるそういう生徒を、批判するのではなく、理解する。この子はゴミをゴミ箱に捨てるということを誰にも教わらずに来た。それを責めない。理解する。ありのまま受け入れる。


でも私達は教師だから、ただ理解して受け入れるだけではだめ。教えてもらわなかったんだね、それなら仕方ないね、そんなあなたを理解します、それだけではダメ。存在を受け入れて認め理解した、その上で、その子に、ゴミはゴミ箱に捨てるものだ、という事を教えなければならない。それが教育というものであり、私達の仕事だ。」



以来私の教師人生は、この先輩の言葉と共にありました。


今は教師ではないですが、人をサポートする仕事。先輩に言われてからもうに25年経ちますが、年月を経るごとに、何と真理をついた言葉なのかと思い知らされます。


この言葉はこれからもずっと、生涯、私の人生のど真ん中にあり続けるでしょう。