苦しい気持ち、辛い気持ち、それは一般的には避けたいものであり、襲われたらなるべく早くそこから抜け出したいと思う。


でも時に人は、この苦しむ事に依存してしまう事があります。


立ち直りたい、という気持ちに嘘はなく、何とか抜け出そうと努力もしている。早く健康な精神状態に戻りたいと願っている。


そう思う一方で、立ち直るのが怖い、という気持ちが奥底にある場合があります。


それは、変化を恐れているから。


変化というのは良い変化も悪い変化も含みます。結婚、引っ越し、就職、新生活の始まり、など一般的に良い事とされている変化でも、心に負担がかかり、うつ病などのきっかけになり得ることは、ご存じの方も多いと思います。


同じように、落ち込んだり苦しい状態から抜け出すことも、良い変化です。この変化が怖くなるのです。


あまりにも長く苦しい状態が続いていると、それが日常になります。そこから抜け出すことは、慣れ親しんだ精神状態からの変化を意味します。


その変化への恐れが、精神が回復することを自らストップさせてしまうのです。


理解しにくい心情かもしれませんが、長く困難な状態に置かれると、そういうことが起こり得ます。


もしもご自分が、精神状態がよくなると居心地が悪くなり、返って調子が悪くなる、という方がいたら、それは怠けているわけでもなんでもありません。


あたり前のこと。誰にでも起こりうることです。そういう時は、ああ、自分は変化が怖いのかな、と自分で認めることが大事です。自分を責めず、ただそれを受け止める。


そうすると、訳がわからず落ち込んでいる時より状況が見えてきます。そうか自分は変化が怖いのか。なぜ怖いんだろう。それならなぜ変わりたいと思っているのか。その怖さを乗り越えても変わりたいと思っているのか、それとも、ここにずっといたいのか。怖いけど変わりたい、じゃあどうすればいいのか。


そうやって一つ一つ絡まった糸をほぐすように、ゆっくり考える。


また再び、精神状態が良くなった時、居ごこちが悪くなるでしょう。次にそうなったらどうするか?


やっぱり無理だと布団に駆け込み、泣きながら元の苦しみに沈む、そんな時もあると思います。その時はその時。仕方ないことです。


次はどうするのか、このままがいいのか?やっぱり良くなりたい?その自分への問いかけの繰り返しで、自分の方向が見えて来る日が来ます。