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作詞:あー民P
作曲:あー民P
編曲:あー民P
唄:巡音ルカ、神威がくぽ
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ggrksです。
相思相愛系がやりたかったので。
やっつけ仕事ですいません…。
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いつの間にか、彼を目で追いかけている自分が居た。
練習の時の熱いまなざしと、友達と話している時のおちゃらけた態度の
ギャップにやられてしまったのかもしれない。
遠くから見ているだけでいいと思っていたのに、
劇団のクラス分けテストでまさか一緒になってしまうとは。
まぁ、一緒なっただけで彼と親しくなれるわけではないと思うけど。
歌唱力テストの時間。
精一杯歌った。自意識過剰かもしれないけど、
彼の視線がすごく気になる…
「お疲れさま。綺麗な声だね」
テスト終了後、水を差出しながら彼が声をかけてきた。
たった一日目で、こんなに接近できるなんて思わなかった!
「一目見た瞬間びびっと来ちゃったよ。
君と親しくなりたいんだ」
「…はい?」
「とりあえず、メアド教えて?」
「何を…」
「どこ住んでんの?」
「あの、話しを…」
「好きなタイプは?」
「……」
「次いつ会える?」
「……」
「茄子とか食べる?」
「なんで茄子ですか」
「恋人いるの?」
「なんなんですか本当に!」
持っていたタオルを投げつけてその場を去る。
あんなに軽いタイプの男だとは思わなかった。
それ以降、練習に行くたび彼をあしらうのが日課になりつつあった。
「家に帰ってもさ、君の声が頭から離れないんだ」
「そうですか。一度医者に診てもらったらどうです」
「君の素敵なところ、言っていこうか?」
「いいです」
「ひどいなぁ。こんなにアプローチしてるのに。
…スリーサイズは?」
「もう私につきまとわないで下さい!
本当に迷惑ですから!」
つい言ってしまった。
彼の軽い態度に、頭が来た。
私はあんなに一途に思っていたのに、なんだったんだろう。
練習帰り、一人の男に声をかけられた。
劇団の男だ。顔を見たことがある程度だけど。
「あのさぁ、あいつにあんまり冷たく当たらないでくれよ」
「どういう意味ですか」
「いや、あいつがあんなに女に入れ込んでるの初めて見るし。
不器用な奴だから分からないかもしれないけど、
あんまり邪見にしてやるなよ」
不器用って…。
程があると思うんだけど。
後ろから、息をきらせた彼がきた。
「おい、何話してるんだ?」
「あ、ヤベ…じゃあそういうことでな!」
「何か変なこと、言われた?」
「いえ、別に…」
「てゆうか先に帰らないでよ。
もう遅いし、送らせて?」
「あなたに送ってもらう義理はないです」
またやってしまった…。
どうして私は彼にこんな態度しか取れないんだろう。
本当は私、あなたが誰より一番好きなのに…
「君が好きだよ」
練習の時以外聞かない彼の真剣な声に、思わずドキッとした。
自分が顔がどんどん赤くなるのが分かる。
「ば、馬鹿言わないで下さい。
ほら早くしないと置いていきますよ」
作詞:ジミーサムP
作曲:ジミーサムP
編曲:ジミーサムP
唄:初音ミク(Cho.巡音ルカ)
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from Y to Y の曲を聞いて
自分の解釈で書いた小説です。
短編なのでぱぱっと読んでほしいです
感想などくれたら嬉しいです。
曲を聞きながら読めば内容のひどさが緩和されるかもw
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これで終わりなのだ、と実感する。
今の今になって色々な物がこみ上げてきた。
背中を向けて君は歩き出した。
もう、何もかも手遅れだ。
無表情の中で、自分の心は荒れていた。
行くな、と手をひくことができたら。
背中を向けて僕は歩き出した。
君が振り返っていても僕にはわからない。
一歩づつ大きくなる距離は、僕と君を表してるようだった。
「今日も遅いのね」
見慣れたふくれっ面に出迎えられる。
「仕方ないだろ。仕事なんだから」
これもお決まりの言い訳だった。
この一週間で何度同じやり取りをしただろう。
返事もせずに彼女は寝室に戻ってしまった。
すれ違いが多くなったのは、最近のことだ。
段々と仕事が忙しくなり、一緒に住んでいるのに
顔を合わせるのは深夜の一刻だけ。
どちらのせいでもないのはわかっているが、
話せない時間が蟠りを解くきっかけを失わせていった。
「毎日毎日、少しでもいいから早く帰ろうとは思わないの?」
今日はいつもより心象が悪いようだ。
「努力はしてるよ、もちろん。
お前こそ毎日毎日文句ばっか言ってて飽きないのかよ」
「言わせてるんでしょう。私だって言いたくないわ。
少しでもいいから、一緒に過ごす時間を作ってよ。ねぇ」
僕は聞こえないふりをして眠りについた。
仕事で疲れた体は数十秒もしないうちに深い眠りに落ちた。
朝目を覚ますと、いつもは僕より早く先にでるはずの彼女がまだ家にいた。
「どうしたの?仕事は?」
昨日の態度とは裏腹に、彼女はなんだか嬉しそうに見えた。
「今日はお休みしたの。
あなたは何時頃帰れそう?」
「何時って、いつも通りだけど。
また文句言わないでくれよな」
「仕事が大変なのは分かるよ、でも…」
「うるさいな!分かるってなら黙ってろよ!
もうこっちはうんざりなんだ!」
連日の疲れと、理解のない彼女の態度に、
ついに爆発してしまった。
「ごめん…」と呟く声を背に、僕は家を出た。
こんな日に限って定時に終わってしまうから困る。
家には毛頭帰る気が起きなかった。
「今日は早上がりだな。どうだい、一杯」
いつもなら断る同僚の誘いに、思わず二つ返事で「行く」と言ってしまった。
こいつに愚痴でも聞いてもらって、気持ちが晴れたら、
「今日の朝はごめん、言い過ぎた」と言って彼女と仲直りをしよう。
結局、帰ってきたのは日付が変わった後だった。
外から見ると部屋は真っ暗。流石にもう寝ているか。
「ただいま…」
音を立てないように帰宅する。電気をつけた。
部屋の様子がいつもと全く違う。
すぐに気がついた。彼女の私物が一切無くなっている。
焦りが全身を走った。
寝室のドアを勢い良く開ける。
彼女はいなかった。
寝室には、僕の分だけの布団が居場所を失ったようにひかれていた。
思わず名前を叫んで狭い家を何度も何度も探した。
机の上には、温めてすぐ食べられるものと、手紙が。
「dear Y from Y
大好きでした。
ごめんなさい。
どうか幸せになってください。」
焦りは確信になった。
ポケットの中の携帯電話を慌てて探す。
「現在、電波の届かないところに…」
機械音を聞きながらふとカレンダーに目をやった。
昨日の日付に、大きく花まるがしてある。
「記念日」と書かれたそれを見た瞬間、涙が止まらなくなった。
今ならまだ間に合うかもしれない。
外へ飛び出し、走りながら彼女に電話をかけ続けた。
この公園、初デートの場所だった。
恥ずかしくて手も握れなかった。それでも最高の思い出だ。
待ち合わせをする時は、いつもこのコンビニ。
「遅いよ」と笑う彼女の顔が目に浮かんだ。
ここにも、いない。
いつの間にか駅に来ていた。
見慣れた背中を見つけて、息が止まりそうになる。
肩に手をかけた。振り返った彼女は、泣いていた。
「どこにいくの」
呼吸を整えながら言う。
「ここじゃないところ」
ふざけるように彼女は笑った。
「ごめん」
彼女を抱き締めた。
抱き締めれば、僕と彼女の距離は縮まるのだろうか。
「ううん、いいの。わかってあげられなくて本当にごめんね」
ポロポロと涙が出る。
「ごめんね」
抱き締めた手を優しく解かれる。
彼女の手には、おそろいの指輪はなかった。
幸せに、そう呟いて彼女は僕に背を向けた。
遠ざかっていく背中。僕も背を向ける。
そっと手を握る。今はもう僕しかしていないお揃いの指輪が光った。
「・・・っ
忘れないで!俺のこと!」
僕たちが、一緒にいたこと。
君の手を握ったこと。
君の隣で生きようとしたこと。
振り返り叫ぶ。聞こえたかどうかわからない。
何も見えなくなった。
こんなに潤んだ世界を見たのは始めてかもしれない。
ポケットで携帯がなった。
彼女からの、メールだった。
「またね」
ありがとう。大好きだった。
ずっと大好きだ。これからも。
変わらない気持ちでまた出会えたら。
そして、その時まで――