2000年4月。大学に入学した。
親元を離れて、はじめての一人暮らし。
誰も知り合いのいない街。
全く不慣れな都会の生活。
何もかもが初めてでおっかなびっくりのスタートだった。
大学の入学式。
大きな講堂の中に入った。
どうせだれも知り合いがいないんだから。
そう思い、会場の真ん中あたりの席に座った。
はじめて誰も自分のことを知らない場所へ入学する緊張感。
全く知り合いのいない中でどうやって友達を作ったらいいんだろう。
あせらない、自分にそう言いきかせながら入学式がはじまるのを待っていた。
「隣の席いい?」
話しかけてきたのは
ショートカットのおとなしそうなメガネの女の子。
「はじめまして。緊張するなぁ。」
隣に座ると、彼女が話しかけてきた。
私とおんなじように緊張気味の彼女に少し親近感を覚えた。
「緊張するね。知り合いもいないし、どうしようかと思ってたんだよ。早く入学式はじまればいいのにね。」
話しかけてもらえた安心感で言葉がたくさん出てくる。
「私はまこ。名前はなんていうの?」
「私はなおこ。よろしくね。」
はじめてできた大学での友達。
これからの生活が少し楽しみになってきた。