一般に支配するとは、相手を意のままに操ることと思われがちであるが、これがそもそも違う。

相手を支配するとは、「戦略的優位」に立つことを意味するのであり、相手の行動を「計算の範囲内に留めること」を言うのである。

この計算は、相手が行動するより前に行っているものであり、双方が行動する段階において相手の行動を想定内におさめ自分の行動の効果を期待するものに持っていく方策ということができる。

それはすなわち「戦略」である。

ここで肝要なのは、戦略の優劣によらず相手の細かい行動は「そもそも計算に入れられない」ことである。
ゆえに完璧な支配など存在せず、人間の能力に限界があることを思えば、人を支配せんとする者は、自分の計算が相手の行動により想定外を見ることがないよう最後は天に祈るということになる。

平たく言うなら「相手を大枠で把握する」ことが戦略であり支配なのである。
だとすれば人を支配せずに人と付き合うというのは、むしろ著しく冷めた失礼な態度と言えるのではないだろうか。