抽象的愛は決して抽象的なものではない。愛は、宇宙にも地球にも国にも制度にも職業にも従わない。愛が従うものは、通りで見かける風変わりなスズメ、野辺に咲くユリ、愛は歳をとるほど、偏りや不完全性、くるしみ、死の必然へ関与することが、よりはっきりとわかる。たとえそうであっても、愛は肉体化を待ち焦がれる。愛は思考によっては誕生しない。愛の手が届く距離にも限りがあるのだ。