George Hiratsuka

George Hiratsuka

こんにちは。心の赴くままに何か書いてみようと思います。




あるところに 沈黙の師(マスター)と自称する僧がいた

だが ほんとうのところ彼はニセ者で

真正の理解など会得(えとく)していなかった

自分のインチキ禅を売るために

彼は二人の雄弁な弟子を控えさせ

質問があれば彼らに答えさせていた

そして彼自身は

その謎のような沈黙の禅を誇示するためか

けっして口を開かなかった


ある日のこと

二人の弟子が留守の間に

一人の巡礼が訪れて質問した

師よ 覚者(ブッダ)とは何ぞや?

どうしていいのか

どう答えていいのかわからずに彼は不在の代弁者たちを求めて

絶望的にあちこちを見まわした

すると巡礼はあきらかに満足した様子で

師(マスター)に感謝の意を現すと

ふたたび巡礼の旅をつづけていった


道すがら 帰途を急ぐ二人の弟子に会った巡礼は

熱心な調子で いかにこの沈黙の師(マスター)がすぐれた解脱者であるかを話した


私は 覚者(ブッダ)とは何ぞや? と訊いたのです

するとすぐさまあの方は

首を東に西に向けられてこう示唆してくれたのです

人は 覚者(ブッダ)をあちこちに求めてまわるが

実は覚者(ブッダ)はそういう方向ではけっして見出されはしない とね

なんとまあ悟(さと)った方であられることだ あの師は

それにまた なんと深い教えでしょう


弟子の僧たちが戻ったとき

沈黙の師(マスター)はこう言って彼らを叱りつけた

一体今までどこへ行っていた!

先刻 聞きたがりやの巡礼に

私が死ぬほど恥をかかされたというのに

すんでのところで 私は破滅しかかったのだぞ!