今年度最後の授業。予定通り教科書の半分ほどまでが終わり、残りは来年度に続きを行う。人事異動は発表になっているが、校内人事はまだ分からない。その続きの授業は僕がやるのか否か、神のみぞ知る。いつも通りのひとコマ、だけどもうこの空間を目の前の生徒と共にすることは二度とないかもしれない、、


最後って嫌いだ。ずっとこの時間が続いてほしいと願う。でもそれは良くも悪くも同じステージに留まることを意味するから、やはり人生に最後という場面は必要だ。学校を卒業することも同様だろう。恋愛における別れもそうかもしれない。別れることでお互いが前へ進めるなら、それは幸せな別れと言えるのだろう。


終わりのチャイムが鳴る。起立の号令がかかる。すると突然、いつも授業の連絡係を務めてくれていた生徒が話し始める。この一年間の思い出、そして感謝の言葉。本当に有難いのだが、感謝したいのはむしろこちらの方だ。君たち生徒のおかげで、充実した一年間を過ごさせてもらった。本当にありがとう、、

心の中でそう思ったが、湧いてくる涙で声にならなかった。2年生のクラスだから、生徒は卒業するわけでもない。僕もまだこの学校にいる。だけど涙が止まらない。そんな僕を見て、生徒は笑っている。この光景、この仕事に就いてから何度見てきたことか。


年度末になると涙腺が緩みっぱなしになる。誰が教えてくれないか、涙腺の鍛え方を。そしてこんな場面に多く直面するこの季節が苦手だ。そう思いながらも,この季節は決して嫌いではない。むしろ好きだ。お互いが共に過ごした時間を振り返り、前に進んでいくことは、人生を歩む上で必要不可欠なことだ。よし、また一歩前へと進んだ。これで明日からもまた頑張れそうだ。