幻想水滸伝の妄想SS╭( ・ㅂ・)و グッ !

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『青い情熱と赤い冷静』

赤々と燃える情熱
澄んだ水のような冷静

一般的なイメージはこうだろう。
しかし、ここではそれは正反対だった。

水のような青い騎士服に身を包む黒髪の青年『マイクロトフ』
彼は常に騎士である事に誇りを持ち真っ正直な好漢である。

炎のような赤い騎士服に身を包む茶髪の青年『カミュー』
彼はどこか飄々としているが芯の通った美青年である。

ゴルドー率いるマチルダ騎士団、その拠点のロックアックス城で今日もまた賑やかな声が聞こえてくる。


「またお前は女性との付き合いばかり考えているのか」

「レディの扱いも騎士の嗜み、君も真面目一本ではなく少しは勉強したまえ」

「うるさい!まずは騎士としての強さが大事だろう!」

「俺がいつ騎士としての鍛錬を怠ったと?」

「「ではやってみるか?」」

同期で騎士団に入って以来、幾度と無く繰り広げられた二人の立会い。

両手剣で正面から打ち崩すマイクロトフ

片手剣と盾で受け流しつつ切り崩すカミュー


戦い方まで正反対な二人。

戦績は63勝63敗15分。全くの五分なのであった。

そして今回の勝負の行方は・・

マイクロトフの重い一撃がカミューの剣を弾き飛ばす。
「もらった!!」

ガィーーーン!!!

なんとカミューは左手に持った盾でマイクロトフの剣の側面を弾き剣を弾き飛ばした

結果は引き分け

二人は息を切らしながらその場に崩れ落ちる。

「「引き分けか」」
同時に同じ言葉を発しどこか気まずそうな二人。
身体は動かぬが口は動くものであり、互いに互いを貶しあう二人であったが夕飯を告げる鐘の音色に口を閉ざす。
「今日は引き分けだ、次は必ず勝つ」
「そっくりそのまま返そう」

そしてお互いの宿舎に帰る二人、だがどこか満足したような顔であった。


翌日は月に一度の休日。二人はそれぞれの騎士団の同僚と町に繰り出していた。
マイクロトフは武具屋に、カミューは紅茶を販売する雑貨店に。

マイクロトフがあれこれ武具に目を輝かせているとドアが開きカミューが姿を現す。
互いに「なんでお前がここに!」と言いたげな顔を見合わせるがカミューは直ぐに主人に話しかける。

「ご主人、頼んでいた修繕は済んでるかな?」
「おぉ!カミューさま!済んでおりますとも!」
主人の銅鑼声が店内に響き渡る。

カミューは愛用の盾の修繕をお願いしていたようだ。
「うん、流石はご主人の仕事だ!」
愛用の盾を愛おしそうに眺めるカミュー。

「では・・これ代金です、あとこれお孫さんにどうぞ」
そう言って小さな木彫りのオモチャを手渡す。

「いやいや!こんなもの戴くようなことはしていませんよ!」
「良いんですよ。ご主人のお陰で私は安心して戦えますから」


そんなやり取りをなんとも言えない表情でマイクロトフがみていた時
「キャーーー!!」
外から女性の悲鳴が聞こえてきた

刹那マイクロトフは駆け出し、同時にカミューも盾を固定しながら飛び出した。


町に盗賊が入り込み親子を人質にとり立て籠もっているようだ。


正面から突入しようとするマイクロトフの腕を掴み制御するカミュー
「何をする!離せ!」
「人質を危険に晒す気か?」
「ではどうすれば良いのだ!」
「俺に策がある、今だけは協力してくれ」
「・・・・わかった」

カミューは教会で関係者から礼装を借り、食料と金貨袋を調達してきた。
「いいか?俺たちは教会の使者として物資を届けるフリをする」
「幸い刃物を持った賊は一人のようだ、そいつは俺がやる」
「マイクロトフ君は残りの二人を何とかできないか?」
「わからん・・が、やるしかないんだろ?」
「ふっ・・そうだな。人質は俺の命に代えても守りきる。頼んだぞ」
「「騎士の名にかけて」」


「すみません、私たちは教会の使いです。食料と金貨をお届けにきました」
「やけに早いじゃないか・・まぁ良い寄越せ!」
「おい!いつまで居やがる!さっさと出て行きやがれ!」
「はい・・・申し訳ありません」

その時、一瞬だが賊の注意が食料に集まった。
「今だ!」

マイクロトフは全身の力を足に込め飛び込み、両手で賊の二人を締め上げた。
それに逆上した残りの一人が人質に刃を振り下ろす。

キィーーーン!!

カミュー愛用の盾が簡単に賊の剣を弾き飛ばす。
無防備になった賊にカミューの怒りの拳が飛んだ。

無事に開放された人質は放心状態から安堵の涙を流す。
15歳程の少年がふと我に帰り二人に気づいた。

「マイクロトフ様とカミュー様じゃないですか?」
「おや、俺たちを知っているのかい?」
「はい!実は来年から自分も騎士団見習いになります!お二人は憧れです!」
「そうなのか!名前を教えてくれるか?」
「ヨシュアと言います!もし覚えていてくださってたら嬉しいです!」
「ヨシュアか。いい顔をしているな。騎士団で待ってるぞ!」

マイクロトフの大きく暖かい手がヨシュアの頭を撫でる。
カミューはそっと母親に毛布をかけ気遣っている。


人質を無事に帰した二人は外れにある大樹の下に腰かけた。
「・・・今日は助かった。お前の策が無ければどうなっていたか・・・」
「・・・いや、こちらこそ。お前が居なければ策は失敗していた。」

「なぁマイクロトフ。俺はお前の実直で真面目な部分が羨ましかったんだ」
「だから・・その・・敵視していた。すまない。」

「それを言うなら俺もだ。お前は俺にない柔軟さを持っている。」
「それが羨ましかった。すまない。」

「なぁ、もし俺たちがコンビを組めば無敵なんじゃないか?」
「俺に無い所をマイクロトフが補い、マイクロトフにない所を俺が支える」

「そうやって赤騎士と青騎士が協力していけば素晴らしい騎士団になるんじゃないかな?」

「まさかお前からそう言う話がくるとはな」
「では今度・・女性の扱いを少しだけ教えて貰おうかな?」

「・・・クッ・・ククク」
「ハッハッハッハッハッハ!」

「これからよろしくな!」
「あぁ!騎士団を素晴らしいものに!」
「「騎士の名にかけて!」」




~時は流れてロックアックス城~

「おれは・・・・・おれは・・・・おれは!!!
おれは、騎士である前に人間だ!!!!
騎士の名前など、いらない!!!!
恥辱にまみれるのも、あまんじて受ける!!!!
だが、やつらをゆるすことなどできない!!!
命がムダについやされるのを見過ごすことなどできない!!!!!」


「これで私も反逆騎士です。あなたの命令に従う理由はありませんね」

「騎士たちよ!こやつらを捕らえよ!!!」


「私はお二人と共に行く!お二人こそが真の騎士だ!!」
「私も!」
「俺もだ!!」

次々に剥がされるエンブレム。
その切っ掛けになったヨシュアとマイクロトフとカミューは顔を見合わせて頷きあったのであった。

 

~Fin~