長野県山ノ内町の湯田中温泉にある老舗旅館「よろづや」は27日に、国の登録有形文化財になっている大浴場「桃山風呂」を一日限定の日帰り温泉として、地域の人や観光客に無料開放する。普段は宿泊客以外の入浴を受け付けていないが、完成70周年を迎えたことを記念して企画した。

「桃山風呂」は昭和26年に着工し28年に完成。安土桃山時代の純木造伽藍(がらん)建築の技法を取り入れた建物が特徴だ。柱はくぎを使わずに木を組んで建築され、天井は松の一枚板を使った格式高い「折り上げ格天井」様式、湯口は溶岩石、浴槽の縁や床石には御影石を使用している。平成15年に国の登録有形文化財に登録された。

開放時間は、男性が午前11~14時、女性が14時30分~17時30分。男女入れ替えのために、隣接する「東雲風呂」も女性は午前11~14時、男性は14時30分~17時30分の間、無料開放する。予約不要、入場無料だが、タオル、バスタオルは持参。当日の混雑状況によっては入場を制限する場合がある。

よろづやを運営する萬屋傳蔵の広報担当者は「70周年の感謝の気持ちを込めて企画した。地元の方をはじめ多くの人に桃山風呂という文化財を知ってもらえれば」と話している。