第164回芥川賞受賞、本屋大賞ノミネートの極上の現代純文学。

進出気鋭の作家、宇佐美りんのデビュー2作目の小説である「推し、燃ゆ」。

 

 

 発売されたのは2020年で、芥川賞受賞が発表されたときにテレビで取り上げられて

いたことを今でもはっきりと覚えている。

この作品は私が今まで読んだ小説の中でもトップクラスに好きな小説だ。

(まだ13年しか生きてない)

 

 単行本は128ページと非常に短いのだが、内容がとても濃ゆかった。

読んでいて何度も辛くなったが、ページを捲る手は止められなかった。

 

 初めて「推し、燃ゆ」という題名を聞いたとき、私の脳内には二つの場面が

思い浮かんだ。

1つ目は、「推し」が炎上する場面。

2つ目は、「推し」が死に、火葬する場面。

どちらにしろ、「死」を意味しているような気がする。

つまり、重い。

 

 

 アイドル、上野真幸を推す高校生、あかり。彼女にとって「推し」とは背骨のような存在だった。そんなある日、推しがファンを殴った、という情報が入ってくる。その情報は急速に拡散され、あっという間に炎上した。あかりは背骨を奪われ、今まで何とか成り立っていた(?)生活も出来なくなってしまう。彼女はそれでも推し続けた。しかし、推しは引退した。彼女は彼女なりに「生きる」ということを始める。

 

 「推し」は死んだ。しかし、「かつて推しだった人」は生きている。

あかりは生ける屍となっていた。しかし、「生きる」ことを始めた。

 

 生々しい描写の数々に途中幾度も読むのが辛くなったが、ページを捲る手は止められなかった。

 

 この物語は完全にハッピーエンド、という訳ではないと思う。しかし、希望はあるのだ。この少し閉塞感のある現代社会で自分なりでいいから生きろ、と語りかけてくれている気がする。だからこそ、私はこの書を読み続け、解釈し続ける。