長くなってすみません^^
<闘いは長期戦。着実に成果あげる>
今回選挙、共産党は野党を伸ばすことと共産党を伸ばすことの両方を初めて追求しました。一人区での共闘の効果ははっきり表れました。各野党で得票数は増やし、特に民進党さんは比例票で700万票台に落ち込んでしまったところから1000万票以上に回復しています。共産党も議席を前進させることが出来ました。
しかし改憲勢力が3分の2以上になりました。兵庫選挙区では共倒れになってしまいました。しかしこの負の側面は「戦略の誤り」というより、かつてない異常な争点隠し報道(参照記事1)や全国的に組織的に展開された大規模な反共宣伝(参照2)があったことを考えれば、そうした攻撃の中でも健闘、あるいは成功した方ではないでしょうか。
【参照記事1】:参院選テレビ報道「量質ともに異常な後退」
http://goo.gl/U41NCc
【参照2】:激戦区で野党共闘攻撃 首相先頭に序盤から 脅威感じなりふり構わず http://goo.gl/ziJkLP
議会制民主主義の発展の長い歴史のなかで、今回の共闘のやり方は全体として方向性は間違っていないとおもいます。たとえ議席数は以前より後退したように見えても、全体の方向性が合っていれば、十分に前進、逆転できると考えます。
そもそも野党共闘は大義である「立憲主義の回復」を目的になされました。すなわち「集団的自衛権の閣議撤回」と「戦争法の廃止」です。これを実現するには野党が共闘して政権をとることが必要です。野党が政権を取りに行くのは参院選でなく衆院選=総選挙です。今回の野党共闘は政権選択である衆院選を視野に入れた長期戦を視野に入れたものだということです。参院選の成果を土台にして、衆院選で野党が政権を取る、そういう話だと思います。
これを実現するには一言に「選挙協力」と言っても、「棲み分け型の選挙協力」にとどまるのでなく、一歩踏み込んだ本格的な選挙協力が必要だということです。その一つの例として、かつて市民と野党が一緒になって白井文尼崎市長を誕生させた、白井型(第一期)選挙です。今回の参院選1人区での選挙協力は自主投票のところや勝手連的なところも多かったとおもいます。
それと、共産党が追求する「国民連合政府」のような政権構想が必要だということです。野党が政権を取ることをめざすとなると相手側から必ず政権構想を問われることになるからです。
この点で今回、「野党は対案がない」「考え方の違う政党同士がくっつき、たとえ政権を取ったとしてもうまくいかない」という形で、いわゆる「野合」批判が激しく行われました。
これは、共産党の尼崎地区委員会が受取人払い返信封筒を使って大規模に行った市民アンケート調査(8万世帯に配布)でもあらわれていますし、同様なことが朝日新聞紙上に掲載された世論調査でも表れています(参照3)。
【参照3】:参院選、「野党に魅力なかった」71% 朝日調査 http://goo.gl/STsb8f
安倍政権の政策を支持したのではなく、野党が頼りないから安倍さんを支持せざるを得ない、あるいはその受け皿になっているのが関西では「おおさか維新」(参照4)だということです。
これに対して、野党側も野党間で話し合いを進め、TPPや原発再稼働、辺野古、消費増税などの一致点、合意を広げ、野合批判対策を進めました。しかし、そのことは国民に広く浸透しきれず、結果として野合批判を十分に跳ね返せなかったのではないかということです。
【参照4】:12党の「地盤」はどこ?http://goo.gl/jlwHv9
ただし、「国民連合政府」実現には時間が必要です。しかも今回のような選挙協力はかつてない初めての試みです。普通より時間がかかるとみるのが妥当ですが実際の準備期間は選挙協力の前提となる「合意」(協定)が結ばれて半年もありませんでした。
それどころか昨年暮れまでは参院選に向けて当初無理ではないかと思われていた選挙協力が、野党間の合意が成立、1人区での野党統一候補は32区すべてで実現しました。これは想定外の大成功です。「全体」をみれば、共産党としては「国民連合政府」実現までには至らなかったのは課題ですが、1人区での野党統一候補32区全区実現だけでも十分すぎるほどの成果、むしろ成功と呼べるのではないかと私は思います。
また、総選挙では比例区以外の選挙区は定数1の小選挙区がすべてです。兵庫では12選挙区があります。今回「1人区」で共闘効果がはっきり現れたことは衆院選での野党側にとって大きな成果、希望となるものです。 今後、衆院選に向けて、この野党共闘の初挑戦を通して得られた信頼関係をさらに深め、実績を積み上げて、国民にも信頼を勝ち取り、支持を広げていくしかない、安倍自公政権を倒すにはこの道しかないのではないでしょうか。
<「全体」「地殻変動」を念頭に置きながら>
共産党が今回提案する「国民連合政府」についてここで少し補足させてください。共産党はずっと以前より提案してきた政権構想があって、こちらの方は「民主連合政府」構想というものです。今回の「国民連合政府」はそれとは異なります。「民主連合政府」よりも幅広い個人や団体が参加できるのが「国民連合政府」と言えるかもしれません。
この「国民連合政府」は共産党が今回提案させていただきましたが、過去を振り返ると、70年代にすでに社会党が「国民連合政権構想」を打ち出しております。この時期は自民党単独政権に対して各野党が競いあって、各党なりの政権構想を打ち出したのです(参照5)。今は社会党がありません。今回は共産党が「民主連合政府」よりも幅広い個人や団体が参加できる「国民連合政府」を提案させていただきました。
【参照5】:1973年の第12回党大会で日本共産党が採択した「民主連合政府」の提案に引き続き、公明党が「中道革新連合政権」、民社党が「革新連合国民政権」、翌年、社会党が「国民連合政府綱領」を掲げました。
FBでも2年前から発信してきましたが、60年代から70年代に起きたことと同じようなことが展開されています。当時は日本の約半数の人口の国民市民が住むところまで、革新自治体が全国に広がりました。いまでは信じられませんが。それがどう実現されていったのか。
当時は全国各地で考え方の違う政党や団体間で「一日共闘」や「ブリッジ共闘」がなされました。今日でいう「一点共闘」です。その共闘は最初、地方レベルで行われていました。それがやがて地方選挙へと発展し、さらに国会へ波及、社会党と共産党が選挙協力する一歩手前まで進みました。この間、1960年から1975年までの約15年間です(1969年の革新京都府政誕生を起点にすると7年間)。
今回も、2011年11月の大阪W選挙から始まった一点共闘は堺市や泉佐野市などの周辺市、さらに沖縄や北海道の地方選挙に波及し、それを通し、国民市民の「共闘」運動と呼応しながら、今日のように国政レベルでの野党統一候補実現に発展しました。 この間約5年間です。過去の経緯を考えると今回はまだ発展途上の段階だと考えます。しかし今回は共産党を含めた野党間の合意(協定を結ぶ)とその上に立っての野党統一候補の選挙戦は政治史上かつてないものです。ある部分では前人未到の到達点にもきているのです。
一方、過去と異なるところもあります。一つは政党を後押しするのが労働組合の力が弱くなり、政治に覚醒した市民が政党を動かすようになってきた点です。
もう一つは新自由主義の台頭です。これによって、従来の政治上の分岐点が保守か革新かというのでなく、新自由主義か反新自由主義という分岐点に変わった、あるいはその移行期間にあるということです。
ちなみに新自由主義は単なる経済問題ではなく、自己責任論をはじめ公務員バッシングや「左右でなく前だ」論、地方分権論、ベーシックインカム論、ライフスライル論などを含んだ人々の意識に深く浸透したものです。また9条、25条破壊、13条破壊を内包し、戦争経済を引っ張ってくるのが新自由主義です。https://goo.gl/5iuMwr
この新自由主義の典型的政策の一つがTPPです。新自由主義か、あるいは反新自由主義かが大きな分岐点が従来の保守基盤を2つに割っているのです。その一つが伝統的な国内産業、農業団体の農協です。
今回それがよく表れたのが東北です。東北で自民党が敗北したのは、自公政権のTPP推進に農協が反発し、支持離れが激しくなったことが原因です。原発問題では福島県知事選では原発容認候補が当選していますから。農協の支持離れの動きは赤旗がこの間よく伝えていましたが、東北はTPPの影響が大きいです。
農協にとどまりません。新自由主義的な保守=経済保守と地域(商店街組合や町会)や伝統などを重んじる社会保守の2つに分裂したのが大阪です。一方は今の「おおさか維新」、一方は柳本さんなどの大阪自民党、社会保守です。
また、沖縄では政権与党は衆参とも議席をなくしました。日米安保の矛盾が拡大しているのです。
「おおさか維新」に典型として見られるような新自由主義勢力との闘いはまだ歴史が浅いです。国民市民に免疫がありません。これに対抗しつつ、民主主義、立憲主義の回復を求める闘いは、少し長い目で、全体として見る視点を持つことが全体の方向性を見誤らないうえでも大事だと思います。
いずれにせよ、自民党や改憲勢力の表面上の勝った負けたに目を奪われすぎず、深層部分の動き、地殻変動を捉え「全体」を念頭に置いて政治状況を見ることが大事ではないでしょうか。
< 「国民投票」策動に対して、多数が改憲反対。これに依拠した運動を。信頼関係が財産。さらに発展させ改憲を打ち破ろう >
公明党の支持母体である創価学会の婦人部が28年前に作った護憲マンガが話題になりました(参照6)。こうしたことを取り組んできたのが創価学会の婦人部です。新聞調査によると、改憲の公明党も支持母体の学会員は約半数が護憲です。さらに9条に関しては公明党議員も創価学会員もすべて護憲です。改憲勢力と呼ばれるのは間違いだ、憲法改正を争点にしないのは論議されていないからというのが公明党のスタンスです。こうした公明党がただちに改憲のための国民投票に賛成することは考えられません。
【参照6】:自公は平和憲法を捨てた。……28年前の創価学会婦人部編『まんが・わたしたちの平和憲法』に書かれた戦争へのシナリオが今の状況とそっくり(あとがき追加) http://goo.gl/PwD0Xk
しかもまったく気づかれていませんが、今回の選挙結果を注意深く見ると、兵庫選挙区などでは「驚異的な」得票を得ている公明党は、比例票で見ると、全国総数でも兵庫選挙区でも両方で得票率を落としています。政党の中で公明党だけが落としているのです。 これは本部にとっては見過ごすことができないものではないでしょうか。
その公明党は改憲の自民党とズブズブの選挙協力の中で内部の矛盾はますます深化し、戦争法反対の学会員が三色旗を持ってデモや集会に参加し、創価大学関係者が反対の声明を出しています。
選挙の窓口調査では公明党支持者の24%が今回野党に投票(参照7)しています。また、国民の過半数以上が「改憲反対」との結果がでています(参照8)。一般紙もさそく「改憲に白紙委任ではない」と主張しています(参照9)。ここに依拠して、確信をもって闘うことがだいじではないでしょうか。国民に依拠した闘いは安倍政権にも影響を与えます。簡単に否定できません。
【参照7】:公明支持層24%、1人区野党候補に 朝日出口調査 http://goo.gl/zxCpVS
【参照8】: 「安倍政権下で改憲反対」50% 共同通信出口調査 http://goo.gl/eC6hZp
【参照9】:改憲勢力3分の2/政権への白紙委任ではない http://goo.gl/ulEu53
権利は勝ち取ってこそ権利です。権利と不断の闘いは表裏一体のものです。これが権利獲得の歴史、憲法の歴史。
これを機会に自民党の改憲草案のひどいさを知らせていきましょう。国会でも共産党がガンガン追及するはずです。国会論戦にも注目しましょう。
また死者300人以上が発生し事実上「戦争状態」の南スーダンPKOに自衛隊が新たな「駆け付け警護」の任務を背負って派遣される予定です。緊迫の南スーダンの情勢は「しんぶん赤旗」日刊紙が最も早くから注目し詳細に伝えています。
【参照10】:南スーダン、 「情け容赦ない戦闘」が続き、「安全な場所はきわめてわずか」にー2月4日に国会で政府を追及 http://goo.gl/Wt7mDr
そして今回の選挙での最大の成果は野党と市民がともに選挙に取り組んで、それを通して得ることができた信頼関係です。改憲が重大化してしまったことに気持ちを折ることなく、目標をもって頑張っていきましょう^^
最後に東京都知事選の話です。
かつては日本の首都の政治戦、都知事選での革新側の勝利が革新自治体の全国への波及や国政に大きな影響をもたらしました。
今回野党側の候補一本化が実現し、「人権・平和・憲法を守る東京」を掲げているのが野党統一候補の鳥越さんです。憲法改定の動きにどういう審判を下すのかはたいへん重要な争点です。参院選での野党と市民の共闘の初チャレンジでは前人未到の到達点にまで行きました。その次のチャレンジ、東京都知事選で、野党統一候補鳥越さんが勝利することは是非とも必要です。東京はもちろん、日本の政治を変えるうえで計り知れない大きな意義を持つ意味があります。鳥越さんに勝っていただきたい。http://goo.gl/CFW6CL