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 しとしと雨の降る中、残り少ない夏休みをそれなりに楽しもうと、シネマート新宿に『女神の継承』を観に行く。それにしても、私が一念発起して都心に出かけるときはよく雨が降っているような気がする。少し前にやはり新宿に清水宏のスタンダップコメディを観に行った時もそうだった。さらに数年前にこれまた確か新宿に古今亭今輔の落語を観に行ったときなど、土砂降りだった。

 じっとりと雨のそぼ降る夏の終わりにホラーというのも、これはこれであっているのかもしれない。実際物語の舞台もタイの山村で、高温多湿な感じと合っていた。雨だからか、公開からひと月ほどたっているからか、韓国・タイ合作ホラーというのはこんなものなのか、劇場にもぱらぱらとしか人はおらず。とはいえ、私の席が前から3列ほどで真ん中寄りというそれなりにいい席だったからか、すぐ隣に男性一人客が座った。私が座席予約をしたときはこの列は誰もいなかったので、私の席がすでに埋まっているとわかって取ったことになるから、この人物は隣に人がいる鬱陶しさよりもポジションの良さを優先したということだろう。

 そもそもなぜこれを観に行こうと思ったのか、それは少し前にアマゾンプライムで見た『哭声/コクソン』がかなり面白かったからである。その監督ナ・ホンジン原案・プロデュースで、『哭声/コクソン』に出てきた祈祷師イルグァンの話を膨らませようという構想で作られたとかどこかで読んで、それならぜひ見たいと思ったのだ。実際見てみるとイルグァンも、それを演じたファン・ジョンミンも全く出てはいなかったし、前回と異なり舞台も韓国ではなくタイになっていたが、前回同様、祈祷師ものではあった。とある村にこもった人間の恨みと動物などの精霊と、土着の神とその神への人々の信仰心などの精神的エネルギーがぐちゃぐちゃに入り乱れる話だった。神々とそれらへの人々の信仰心の入り乱れ、というあたりも『哭声/コクソン』と似ていた。目に見えないエネルギー対決と、そのエネルギーのありさまがときおり目に見える現象となって表れるという構造、つまり実在論というより観念論的世界観は、この監督の創造のベースになっているようだ。何かが憑依した少女と、そのお祓いをする祈祷師の物語という意味では『エクソシスト』なのだが、『エクソシスト』では神と悪魔、そして神への信仰心が併存していたようであったが、ナ・ホンジンにおいては人間の信仰心次第で状況が変わるような描き方で、たいていは信仰心の揺らぎのせいで悲惨なことになる流れなので、そういう点で観念論的作家だと思う。