17 歳から30 歳までプロになりたくて真剣にギターを弾いていた。もちろん好きなギタリストはたさくんいたが、その中でも 2 人のギタリストを「神」として崇めていた。一人は日本のジャズ・ギタリストの渡辺香津美である。そして、もう一人がロック・ギタリストのスティーヴ・ヴァイだ。

 

 20 歳のときにこのアルバムを聴いて本当に興奮した。最初はカセットで買って、昼寝の時間によくかけて聴いていた。CD を買い直してからは主に車の中で聴くようになった。あとは、ミュージシャンの友達と家で飲んでいるときにもよくかけた。

 

 スティーヴ・ヴァイには「Flex-Able」というデモ版のようなアルバムもある。若きスティーヴ・ヴァイが自宅スタジオで録音したアルバムで、こちらも愛聴版だ。2 枚を並べて聴くと、フランク・ザッパの影響を全面的に受けた作曲センスはさほど変わっていない。ただ、「Flex-Able」にはヴォーカルが入っているのに対し、「Passion Warfare」では、ただただ 53 分もスティーヴ・ヴァイのギターを堪能できる。

 

 ギターばかり聴いていても全く飽きることがない。エフェクターを使って、まるでシンセサイザーのようにギターの音色を変えているし、特殊なヴィヴラートを多用して独特のフレージングで演奏する。速弾きもライトハンドも凄くて、このアルバムを聴いたらもうヴァン・ヘレンでは満足できなくなるはずだ。

 

 サブスクで視聴するのであれば、「Erotic Nightmare」と「The Audience Is Listening」がおすすめだ。どちらもリフがかっこよく、最初から最後までアクセル全開で駆け抜ける。得意のギターによる人間の声の模倣も楽しめる。