To Be General Counsel

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難しそうですが面白いんですよ。法務って。

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どうもこんにちは。G.Counselです。

企業法務.comからお越しの方、コラム第4回はいかがでしたでしょうか。

今回は知識や専門性の話と言うよりも、会社や組織内での法務の立ち位置に関するお話でした。

もっと分解すると、こういうことだったりします。


取締役は会社に対しては善管注意義務(会社330、民644)、忠実義務(会社355)を負います。
法令と定款を遵守しながら正確な情報に基づき経営判断を行うってことであります。
すなわち、法令定款違反がなく、任務懈怠責任もなく、善管注意義務を果たして正確な情報に基づいて適切な経営判断をされたものであれば、責任は逃れられるって事ですな。

そのための判断をサポートするのが法務です。

ただ、事業系部門の役員と話をしてもいろんな綱引きや軋轢もあるでしょうけど、どうしてもダメなものはダメ。そうでないものはリスクを最小化した上で実行した場合、それに対応するリターンがあるのかどうかを見極めることが大事です。

と、いうことは会社の個別事業を見渡すだけでなく、全体も見渡したうえでの判断を求められるだけでなく、法的な部分以外にも気をつける必要があるってことです。


法令重視で事業への理解がおざなりだと、過剰に萎縮した判断を法務がしてしまい、取締役にいい意味での踏ん切りをつけてもらうことができなかったりします。
また、過剰にリスクを意識し過ぎて石橋を叩いて壊すこともありえたりするわけであります。

そこで法務もビジネスセンスが必要になるわけなんですよね。
しかも会社全体を見渡せなきゃいけないですし、事業への理解も詳しい必要がある。ヒトモノカネすべて知らなきゃいけない。
取締役陣はその上で総合的に判断をしてほしいものですしね。


法務の仕事も機械的に法的にYes/Noを言えば済むって時代じゃなくなったようです。
大変になったものです。

さて、企業法務.com で連載中のコラム第3回の解説であります。
今回は要求されるコンプライアンスの水準についてのお話でした。
この水準にはCSR等の概念も入ってきますが、今回では時代の変化に伴う経済、政治、人それぞれの変化にフォーカスしています(PEST分析に近い切り口かもしれません)。

まずは、コラムで掲載した図を再掲しますのでもう一度ご覧ください。

左側が昔、右側が今ですね。

左側では矢印が1本しかありません。
これは、最低水準をクリアし、多少変動する点線部分もクリアできる状態であれば充分だったことを示しています。
マス相手の商売や事業であればこれでよかったんですよね。また、対競合を考えると自主規制が業界内での牽制効果を持っていて、変なことをすると村八分的な状況に追い込まれるリスクをはらんでいました。
市場拡大期であれば、これでよかったんですよね。みんなに均等に恩恵を受けることができましたから。そうなると暗黙の了解みたいなものが強く存在するんです。タブーってやつです。

ただ、新興企業が成長するだけでなく、市場開放や規制緩和によってその集団外に存在する者達が参入すると、そんな暗黙の了解は吹き飛んでしまいます。その代わりに持ってこられたのが外部のルール。
日本のように外国とうまく付き合わないとやっていけない国ではいずれ来る道であります。
しかも、この頃からは多くの業界において新規顧客の獲得に限界を感じ始め、CRMの概念が登場します。

少しずつですが、マスから個へのシフトが進んできてるんですね。そうなると個の顧客が自社をどう意識してくれているのかを気にしないといけません。その個々の意識が右の図の上から下への矢印です。
これはその会社の魅力や利害関係者への姿勢によって変動し、安心できる企業であればその矢印は下に伸びます。安心できない企業であれば下に伸びません。
そう、信頼や安心を獲得できている企業であれば、自然と要求水準は下がるんです。
つまり、不祥事等が発生しても対処を間違えないだろう、あまりにもひどい事態にはならないであろうと信頼してくれるからなんですよね。

そうでない企業は要求水準が高いわけですから大変です。
利害関係者みんなを満足させるための対処が必要ですからね。しかも、疑いの目で見られていることも多いわけですから。

この水準の差は、その企業の継続的な姿勢、すなわち企業理念とそれに裏打ちされた事業活動と従業員の行動によって出てきます。
そして、それを補完するためにいるのが我々法務担当者(あるいはその機能を持つ人)なんですね。

ってことは、企業理念やそれに基づいた戦略を立案し、実行する際は、法務担当者(あるいはその機能を持つ人)もちゃんと関与しないといけないわけであります。

ではまた次回に。
ご質問やご意見、取り上げて欲しい話題等ありましたら是非お願いします。
どうもこんにちは。
企業法務.com第2回 のコラムはいかがでしたでしょうか。

当記事では文字数の関係でコラムでお話できなかったことを中心にお話します。
今回は一つのキーメッセージをお伝えしました。

「法務に割くリソースは、マネジメントの意識と企業規模に比例する」

ですね。
当記事でも図を再掲します。



General Counselのブログ

小規模な企業ほど左下のセグメントにいやすいんですが、そこから事業が拡大して企業の器が大きくなると、上か右に行きます。
トップ/マネジメントの意識が強ければ、法務としての業務領域は拡大しやすくなり、事業規模のほうが先に大きくなるのであれば、どうしても経営資源の投下が遅くなってしまうことから、必要最低限になりやすくなります。
ただ、いずれにしても、目指す姿は右上ですね。

その過程でどう仕事が変わってくるのかですが、
①ルートだとどうしても必要最低限のものに寄りやすくなります。
企業の規模を大きくすることが先になりやすいことから、「イケイケ」の状態が強いんですね。
そこで法務に携わるのなら、一緒にイケイケにならないこと。
そして、小さな失敗からの気づきを最大化し、トップやマネジメントと意識を共有することです。
偉そうに専門的なことをトップやマネジメントに伝えても逆効果になることが多く、それよりもトップやマネジメントがどこに困っているのかを察知して、そこで貢献しながら法務へのニーズを拡大したほうが早いわけであります。
しかし、結構精神的に負担になりやすいのも事実。ここを耐えることも必要かもしれません。


そして、次は②ルート。
このルートは最近やっと多くなってきましたね。
ただ、資源を投入しすぎてしまうのも考えもの。
守りを強くするのは大事ですが、事業とのバランスが大事です。特に、トップや経営層からのニーズが強ければ、法務に強大な権限があると誤解されがちで、牽制機能が強くなりすぎてしまって事業部門との力関係がおかしくなることもありますから、謙虚さを忘れないようにしたいものです。
また、ニーズが強く、仕事の幅が広い分、あれもこれもってことになりやすいですが、コア領域はしっかり押えたいですね。
徐々に人を増やしたり、それ以外の資源を投下すること、あるいは適宜アウトソースすることでじわじわ領域を増やしていくのがいいのかもしれません。

どちらのルートでも重要なのは、事業継続の観点で何をすべきかを忘れないこと。そして、適切な緊張関係を維持しながら謙虚に取り組むことなんでしょうね。

今の自分のいる会社がどのようなセグメントにいて、これから会社と自分がどこへ向かおうとしているのかを照らし合わせながら、キャリアプランを検討されてはいかがでしょうか。
どうもこんにちは。少し涼しくなってまいりました。。
さて、
企業法務.com でなぜか私がコラム連載という手に負えない大きなお仕事をいただきました。
コラム本文は、上記サイトでご覧いただければよいとして、こちらではコラムUP後にフォロー解説を行います。

ご質問がありましたら、当ブログでのコメントかメッセージでも受け付けますので遠慮なくどうぞ。

さて、まずは今回の解説から。
全文は
企業法務.com をご覧ください。

まー、ぼくの小話なのでそんなに補足の必要はないと思うんですけどね

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これは私の趣味や嗜好に過ぎないのですが、当時から裁判官、検察官には余り興味はなかったですし、弁護士は「依頼者がいてナンボの商売である以上、依頼者の意思に拘束される場合が多い。そうである以上、専門的な知識を持って弁護士をあえて「使う立場」のほうが面白いはずだ」。と、いうわけで企業法務にこだわりを持っていたんですね。
結果オーライですが、今考えると無茶な判断だったと思うのであまり真似することはおすすめしません(笑)。
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当時はひねくれてましたw
と、いうのは冗談ですが、いやらしい言い方をすると、やはり弁護士も依頼者がいてナンボの商売です。
アフォな依頼者になるよりも、弁護士もたじたじになるような依頼側の人間になり、弁護士を意のままに「使えるようになりたい」と思ったのが原点です。
と、いうのは実際に法律実務をするのは法務の人間も弁護士の人間も同じであります(ただ、業法の絡みによる制約がありますが)。しかし、イニシアティブをとれるのは依頼側。すなわち企業です。
会社が適切な対価を払えば、とんでもない依頼事項でない限り弁護士に対して主導的な立場でお話できるんですよ?

これって楽しいと思うんですけどね。当時の私はもっとひねくれてましたが、原点はそういうところにあります。
属人的かつ先天的ななセンスや特殊能力なんて必要ないと思いますし、私自身にもそんなものはありませんから。

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私が企業で働き始めた2000年当時では、ある意味ミーハー的な意味で法務に対する興味があったのかもしれませんが、今は違います。
組織の大小は別としても、法務の機能を持った組織あるいは人員を必要としている企業は飛躍的に増えました。
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法務が単なる文書管理係だったのが、いわゆる法務部に変化を遂げたのは98年ごろから。
伝統的なところでは総会屋対策的な性格もありましたが、大きいところでは上記のような変化を経て、臨床法務から予防、戦略法務に舵を切り始めたのであります。

ただ、人が全然おらず、かつ営業等のように大量に育成できないのが法務。
しかも、学生側はあまり法務職について認知がありませんでした。
私が法務のポジションにつけたのは、時代背景というタイミングと、時代のニーズをうまくつかむことができたからかもしれません。本当にラッキーです。
今だと新卒採用でも法務指名で受けに来る人かなり増え、それなりの競争になってますからね。

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しかし、その中で各企業における法務担当者のレベルが10年前と比較して上がったのかと言えば、半分は正しくて、半分は正しくないと思っています。

採用の面では、いわゆる資格や検定、司法試験の受験歴といった、「見た目」でしか判断していないのではないか?
その人は法律の「知識」は一人前でも、ビジネスマンとしての能力が水準以上で、企業内で一緒にビジネスをしてみたいと思える人なのか?

組織への貢献における面では、法務部門が会社全体への貢献の意識をしっかり持っているのか?
ただの評論家集団ではないのか?
そのような疑問をここ数年で持つようになってきました。

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上記でも書いた通り、営業やSE,PG等のように、法務は一度に大量の人間を教育し、養成できるものではありません。
また、法務は他職種と比べ専門性が高いと思われがちですが、意外とそうではありません(「生き字引」までのレベルが要求されているわけではないのです)。
(会社の機能から言うと、経理財務と比べたら優先度低いですし、どの職種でも必要最低限の法律の知識は必要だからです)
すなわち、法務は「法律を知っている」ことに価値があるのではなく、法律を通じて得た、「法律」のメッセージを解釈し、それをわかりやすく部門に伝え、それぞれのプレイヤーが自律的に行動してくれること、これに価値があるわけです。

そもそも各種法令なんか調べりゃわかるんですからw
書いてあることをそのまま伝えるだけなら猿でもできます。法務はそれに対して付加価値を付けて社内に提供すること、そして外部からの目を持って周囲と接すること、これが期待されているわけなので、これに即した能力が必要になるのです。

どうしても司法試験受験者や、各種法律系資格にチャレンジした方々は、受験勉強により得た知識を実務に持ちこみ、そのまま使おうとするケースをよく見かけますが、企業内でのビジネスパーソンとして活躍することを希望されるのなら、これは速やかにやめていただきたい。
上記の行動ができない限り、単なる評論家でのスタンスでしか仕事ができませんから。

なぜそうなのかは次回以降のコラムと当ブログでの解説でお話します。