10月から11月に掛けて、全国の浄土宗のお寺にて
「十夜法要」通称「お十夜」が勤められる。
遥か昔、万行万善のあらゆる修行を成し遂げて、さとりを完成し仏と成られて、
いまもなお西方極楽浄土にまします阿弥陀如来さま。
その阿弥陀如来さまの「すべての衆生をもれなく救いとりたい」との
慈しみ深い願いのその御心に応え、十日十夜の間、一心に「なむあみだぶつ」と
「お念仏」を称える法会を「お十夜」と申します。
お釈迦さまの説かれた『仏説無量寿経』(『浄土三部経』の一つ)というお経の中に
「此処に於いて善を修すること十日十夜すれば他方諸仏の国土に於いて善を為すこと千歳するに勝れたり」と説かれています。
この教えを実践する大切な法要が「お十夜法要」でございます。
「此処」すなわち私たちの住む「娑婆」と呼ばれる世の中は、
「誘惑」や「煩悩」に満ちた世界です。
この世界では、中々善い行いを修することが難しい。
しかし、仏様の世界「お浄土」では、「悪意」や「悪行」は存在せず、
自然に善い行いのみが積まれてゆくと謂れます。
それ故に、この世の中で、十日十夜の間、善行を修めるという事は、
諸仏の世界(極楽浄土以外の諸仏の浄土)での千年間の永き修行よりも遥かに価値がある
尊い行いであるとお釈迦さまはお経で説かれているのです。
心を込めて己を励まし、お念仏を称えなさい。その計り知れない広大な功徳を受け、
必ず御仏の大いなる救いを頂きますよと教えて下さっているのが、
この「お十夜法要」でございます。
お十夜には、阿弥陀さまの有難い正覚(おさとり)をお祝いして、
紅白餅や沢山の茶菓珍膳をお供えして感謝と報恩の心を捧げ、
仏様とのご縁を結ばせて頂くと共に、私たち自身がお念仏の尊さを知り、
自らお念仏を修して信心を養う大切な好機です。
どうぞこの善き法縁を喜びお寺に参って、ご先祖さまや亡き方へ、
そして、いまある方々と共に感謝と報恩の気持ちを込めて大きなお声でお念仏に励みましょう。
日々、お念仏の声と共に明るく、安らぎある毎日を送りましょう。
光明遍照 十方世界 念仏衆生 摂取不捨
記
日時 十一月二十三日(日) 午後一時より 十夜法要
引き続き ご法話
福岡教区 筑後第一組 善福寺 ご住職
花 田 浩 之 上人
場所 於 玄 忠 寺 本 堂