現在わが国において乳癌は女性の癌では第1位の罹患率を示し、昨年の年間罹患者数は約4万人にのぼっており、死亡者数も1万人を超えています。また、その年齢別発生頻度を見ると、30歳代以降に上昇し45~50歳のところにピークがみられます。この年代の女性は家庭的にも社会的にも重要な立場であることから、乳癌は深刻な社会問題となっています。こうした社会的背景から、乳癌診療に関して正しい情報、役立つ情報を提供することを目的に、医療関係者と患者さん、それぞれを対象とした乳癌診療情報サイト「nyugan.Info」を開設しました。
医療関係者向けサイト(※1)では、日々進歩する薬物療法を柱に、3つのコンテンツ(※2)を掲載しています。第一部は、経口抗がん剤を転移性乳癌に対する薬物治療の中にどのように組み入れていくかを解説した『乳癌抗がん剤の組み立て方』。第二部は、日常診療の中で診断および治療医が抱えるさまざまな疑問や、最新の乳癌治療情報をわかりやすく解説した『乳癌診療Tips & Traps web』。第三部は、乳癌治療におけるもっとも重要な国際会議と位置づけられるSt. Gallen Conferenceの内容をいち早くお届けする『速報!St. Gallen Conferences』です。以上のようにこのサイトは乳癌診療に携わる先生方にとって有用な情報を満載していますので、ぜひご覧ください。
一方、患者さん向けサイト『All About 乳がん.info』は、患者さんが抱く疑問を、教科書的ではなく、実際の診療に則してわかりやすいQ&A形式で解説する内容としています。患者さんが乳癌について正しく理解し、納得して治療に臨むことができることを念頭においていますので、なにかわからないことがあれば、いつでもこのサイトに戻ってきていただければと思います。
皆様の乳癌に関する理解を深めることの一助となれば、監修者としてこれに勝る喜びはありません。

※1 医療関係者向けサイトは一般の方は閲覧できません。
※2 第一部『乳癌抗がん剤の組み立て方』および第三部『速報!St.Gallen Conferences』は、公開を終了致しました。

医療法人社団正診会坂元記念クリニック院長坂元吾偉先生 監修 http://nyugan.info/

 

静岡県立静岡がんセンターと大鵬薬品工業株式会社との共同研究「がん治療を受ける患者及び家族への情報処方のあり方の検討」の成果です。

静岡県立静岡がんセンター総長 山口健監修 http://survivorship.jp/ 

 

「がん研究」から「がん予防」へ

日本人の一般的な暮らしの中で考えた場合に、がんの原因といわれる生活習慣の中で、何によって、どのがんのリスクが、どれくらい高くなっているのでしょうか。
総合的な健康にも配慮しながら、がんのリスクを低く抑えるためには、どのようなアドバイスが、効果的なのでしょうか。予防法は、どうすれば、実現できるのでしょうか。

その答を得るには、まず、これまで行われた国内の疫学研究結果を網羅し、科学的な方法で検証を重ね、的確に評価を行う必要があります。

その上で、日本人のがんの発生を減らすために確実に効果が期待できるような生活習慣改善法を提示し、ひとりひとりの行動の変化に結びつきやすい、具体的な予防方法を開発することを最終的な目的として、この研究班が設けられました。

主任研究者をはじめ、班員はそれぞれが日本で実施されている主な大規模疫学研究に携わっています。すなわち、この研究は、第一線で日本のがんの原因・予防方法を研究する医学研究専門家の共同作業により、基礎的な研究結果を実際の応用へと橋渡しする研究(トランスレーショナル・リサーチ)として推進されています。

 

研究の背景

がんの原因に対する意識調査から、一般の方のがん予防に関する知識はまだ科学的根拠に基づいているとは言えず、どちらかといえばその時々に耳にした報道に左右されがちな一時的なものであることがうかがえます。一方、専門家にしても、がんの原因について個別の研究を発表する機会はあっても、関連文献を集めて総合評価するには至っていませんでした。

がんの原因の多くは環境要因であることがわかっているといっても、具体的にどのような生活習慣によってがんリスクがどれくらい高くなるのかということについては、まだ十分な研究結果が揃っているわけではありません。科学論文は、そのひとつひとつの方法の客観性や結果の独創性が評価され、公開され、批判され、蓄積されて新たな研究や総合評価のために再利用されることを特徴とします。その特徴を活用し、WHOなどでは、世界中から専門家を招集し、国際的ながんリスクの評価が行われています。

しかし、環境や背景が異なる欧米中心の研究結果から導かれた評価が必ずしも日本人にも当てはまるとは限りません。科学的根拠に基づく日本人のがんリスクを総合的に評価するには、少なくとも、まずこれまでにどのような研究成果がどれくらい蓄積されたのか、あるいはどの分野でまだ不足しているのかを見極めなくてはなりません。

ただし、問題を解決するためには、見極めるだけでは不十分です。さらに次のステップとして、不足しているエビデンスを充実させるとともに、総合的な評価をもとに効果的な方法を開発し、試してみて、広く普及するまでを長期的な目標に据える必要があります。https://epi.ncc.go.jp/can_prev/